仏壇をご先祖様が生活される部屋として捉えてみましょう。
埃っぽい部屋で暮らしたくないのは、ご先祖様も同じことです。
お盆、お彼岸を前に、また年末年始を前に、仏壇のお掃除をご検討されている方もいらっしゃると思います。
仏壇屋さんのウェブサイトでも非常に親切で丁寧なお掃除方法を紹介しているところがあります。
しかしながら、やはり大仕事になってしまう仏壇のお掃除。
ですから、今回は、時間をあまりかけることなく、自分の手できれいにできる方法に特化してご紹介します。
大切なのはご先祖様への敬いの気持ち
ご先祖様を敬う気持ちは大前提です。
仏壇をご先祖様の生活される空間です。お掃除を行う際のモチベーションとしては、ご先祖様の仏壇をきれいにすることで、ご先祖様への感謝の気持ちをあらわす、という気持ちを持つことが大事ではないでしょうか。
仏壇をきれいにすることは、ご先祖様への尊敬の念を込める気持ちあってこそです。
お掃除の前には必ず手を合わせて、「これからお掃除を致します」と伝えましょう。
仏壇の種類によってお掃除の方法が異なることがあります
仏壇は、宗派によってはもちろん、最近のライフスタイルに合わせてさまざまな種類が用意されています。
- 家具調のお仏壇:カラーが豊富でお部屋にマッチするデザインのもの。一般の家具と同じ素材で作られていることも多いものです。
- 唐木のお仏壇:紫檀・黒檀・鉄刀木・シャム柿などの熱帯原産の素材に加え、屋久杉・桑・欅・桜など日本の銘木から素材をとって作られたお仏壇は、素材の特性を考えなければならない場合があります
- 金箔のお仏壇:金箔と漆を使用した仏壇です。浄土真宗本願寺派、真宗大谷派などの方がお家に置かれていることが多い印象です。伝統工芸として有名な姫路仏壇などにも金箔が利用されています。
- 壁掛け式のお仏壇:軽量で薄型なため、マンションなどに置かれることも多い仏壇です。お掃除の際には、お掃除も比較的平易に進めることができます。
- 神徒壇(祖霊舎):神道の方は、ご先祖様の心を祀るための「祖霊舎(それいしゃ)」をお持ちの方もいらっしゃると思います。一般にヒノキなどの白木で作らています
以上のように、素材も構造も分かれていますので、ご自宅にある仏壇がどのような素材で作られているものなのかどうかは、確認しておくとよいでしょう。
今回の記事をお読みの方には、いろいろな宗派の方がいらっしゃると思います。
今回は、一般的な呼称としての「仏壇」という表現を使用しておりますので、ご了承ください。
掃除の前には、あなたの気持ちをご先祖様に伝えましょう
ご先祖様の仏壇に触れる前には、必ず、手を合わせましょう。
これからお部屋をきれいに掃除させていただくわけですから、きちんと気持ちを伝えましょう。
また、息が直接仏壇にハアハアとかかってしまっては、ご先祖様に失礼です。
この観点から、マスクや三角巾はきちんと着用した上でお掃除をされると良いでしょう。
お掃除は晴れた日に!
お掃除は、必ず天気の良い日に行いましょう。仏壇への湿気は、カビの原因となるだけでなく、デリケートな金箔部分や漆などの部分は、カビや腐食の原因ともなりかねません。
窓を開けたうえで、除湿器や扇風機などで換気を良くすることをオススメします。
写真の重要性
次に具体的な作業に入る前に、仏壇の写真を撮っておきましょう。
今回は、あまり大掛かりな作業を行うようなお掃除を紹介するわけではありませんが、事前に写真を撮っておくことで、どのような配置でモノが置かれていたかを確認できます。
とくに、装飾されていたり、置くところが決まっているものは、お掃除の際に移動してしまった場合に写真を見て直すことができるのでおすすめです。
仏壇のお掃除の具体的な方法:お掃除のポイントはとにかく「優しく」
お掃除を行う際には、優しく優しく行っていきましょう。
たとえば、少しこびりついた様に付着している汚れについては一度に取ろうとせず、一回一回丁寧に同じ方向に優しく触れることで、徐々に剥がれるのを待つようなイメージです。
仏壇の素材は、非常にデリケートなものが多く、とくに金箔の仏壇は、とても繊細です。
こうしたことに留意するだけで、傷をつけることなく、見違えるほどきれいできますよ。
掃除は、ホコリを取ることに注力しよう
具体的に掃除をするときのポイントですが、まず「埃を取る」ということに注力しましょう。
というのも、こうした仏壇のホコリというのは蝋燭の蝋などを含んだ蒸気や、お線香の微量な粒子が誇りに巻き取られて付着していることも多く、いきなり拭き掃除をし始めてしまうと、ただ汚れを伸ばしているだけになってしまいます。
実は、この埃を取るということに注力することが、仏壇掃除の要となります。これについては、後述いたします。
用意するもの
以下のものがあれば、大丈夫です。
- 筆(書道などに使用する太さ1センチ未満のもの)×1
- 刷毛(刷毛の部分が5~10センチ程度のもの)×1
- 柔らかな布(大きさは、20×20センチ程度がオススメです。メガネふき、セーム皮など:ハードオフなどの楽器コーナーで艶出しポリッシュが含まれていないものを探すなどされると良いでしょう)×2
埃を取るときには筆と刷毛の2つを使おう
そこで、登場するのが刷毛(はけ)と筆です。2つ用意するのは、面積によって使い分ける必要があるからでもありますが、もう一つ理由が。
その理由は、「装飾」です。
特に仏壇の扉の上あたりにある「欄間(らんま)」と呼ばれる部分には、彫刻のような装飾が施されているのがほとんどかと思います。この部分を清掃するには、はたきなどではたいたとしてもなかなか汚れが取れないばかりか、あまり良い気持ちがしませんね。そのため、筆を利用して、埃を取っていくのです。
オススメは、刷毛を使用して優しく大まかに埃を取った後で、筆を利用して取っていくという方法です。
この作業を行っていただくだけでも、埃がとれ、漆の艶が蘇ってきます。
上から下に向かって掃除を行う
上から下へ向かって掃除を行う。これは掃除の基本ですよね。仏壇をお掃除する場合にも上から順に掃除を行っていきましょう。
埃が下に向かって落ちていくという理由もあるのですが、手を伸ばしたりしていて腕が疲れてしまわないようにするという、私個人的な見解もございます。笑
刷毛や筆は、使う前にほぐしておきましょう
刷毛や筆を使う時には、事前に筆の部分をやや力を入れて、手のひらに押し当てるようにして、抜けてくる毛をすべて予め取り除いておきましょう。抜け毛が多いと、お掃除しているにもかかわらず余分な作業が必要になってしまうからです。
水はNG! 汚れがひどい場合には拭き掃除も!?
先述した仏壇の種類の違いはございますが、多くの仏壇で水気はNGです!
水を含んだ雑巾で拭いてしまうと、カビの原因となりますし、金箔の仏壇の場合には、漆の部分に拭きあとが残ってしまうことがあります。
そのため、少し埃が目立つところについてはメガネ拭きを優しく仏壇に当てがって、触れるかどうか、というくらいの力加減で何度も一定の方向(奥から手前だけ)に動かしていきましょう。円を描くように回したり、上下左右に往復させるような動きはしないようにしましょう。細かな粒子で拭き後が髪の毛ほどのヘアライン傷のようになってしまうことがあります。
金箔の部分には触れないように
金箔の部分には触れないようにしましょう。少し引っ掻くような動作をしてしまうとその部分がはがれてしまうことがあるためです。
金箔の部分には触れず、漆など塗られている部分を中心に埃を落とすことに集中しましょう。
移動可能な仏具を取り外して埃を取る
簡単に取り外し可能な仏具を取り外して、置いてあった周辺に溜まった埃をきれいに取り除きましょう。
取り外しが簡単にできるのは、蝋燭を置く燭台や、ご飯を備える器(仏飯器)、お位牌、香炉などです。
それ以外の灯篭などについては触れないようにしましょう。
一度で落ちなかった場合には・・・
仏壇を取り扱うお店では、掃除用のポリッシュなどが販売されている場合がありますが、こうしたものは使わないようにしたほうが賢明です。
ポリッシュには、化学物質が含まれることも多く、ニカワや漆といった伝統的な接着方法や装飾を施している仏壇には、ひどい場合に化学反応を引き起こして二度と取れない曇りとなってしまったり、拭き後が筋になってのことってしまうことがあるからです。
そのため、一度で落ちないしつこい汚れがある場合は、強く絞って水気をほとんど感じなくなるくらいまで絞ったメガネ拭きのようなクロスで優しく汚れを浮かせるように、サワサワと触りながら拭いてみてください。最後に水気を吸い取るように別のクロスでふき取りましょう。
まとめ
仏壇の清掃は、
- 手を合わせてこれから掃除することを伝える
- スマホで仏壇の写真を撮っておく
- 筆や刷毛の抜け毛をあらかじめ予防した状態で、埃を上から下に向かって取っていく
- 釣り灯籠など取り外すのが難しいものは無視して、すぐに動かせるものだけを取り出しておいてある場所の埃を取っていく
- 少し粘着質やこびりついているような汚れを発見したときには、クロスを優しく当てて汚れを取る
- 写真をもとに仏具を戻す
以上の手順で進んでいきます。
一般的な高さが180センチほどの仏壇でしたら、ここまでで10~15分程度で完了するはずです。
日ごろから、仏壇に手を合わせる際や、お供え物をする前などに、簡単にお掃除をされる習慣を作っておかれるとよいかもしれません。
皆様の参考になれば幸甚です。