実家の整理を業者に依頼する方は都市部だけではなく近郊や地方でも増加しています。
実家の整理を業者に依頼する理由は、実家を売却する前のお片付けなどお客様の課題によってさまざまですが、どのような場合にでも共通する注意点がいくつか存在します。
実家の整理で、できる限りトラブルや失敗を未然に防ぎたいとお考えの方は少なくないはずです。
今回は、ご実家やご自宅を整理しようと考えていらっしゃる方へ、とくに注意しておきたいポイントをまとめてご紹介いたします。
なお、当記事はこれからご自宅やご実家の整理を計画されている方へお伝えしています。
より具体的に計画されている方は以下の記事も併せてご覧ください。
実家の整理時に確認したい注意ポイント
- 実家の遺品を整理するときは、話し合いをしっかりと
- 実家の整理は業者任せにしない
- 身分証明や個人情報の取り扱いは慎重に
ここで、注意しておきたいのが、相続などの諸手続きに関して必要な書類や、重要な物品の所在です。
実家の遺品を整理するときは、話し合いをしっかりと。
実家の片付けについては、兄弟姉妹など親族が必ず予定を合わせて、事前に関係者全員で確認することが重要なポイントです。
たとえば四十九日法要の際は、多くの親族が一堂に会する機会が多く、故人様を偲びながらご覧になる機会となります。具体的な話を切り出さなくても、大まかに部屋の様子などを親族で確認しておくのが良いでしょう。
まずは、何を残すべきなのか、そして、何を処分すべきなのかをよく話合っていただければと思います。
他の親族に任せきりにしない
意外と多いのがご家族やご親族間でトラブルとなってしまうケースです。
ご家族によって状況はさまざまですが、共通するのは、家族間で意思の疎通ができていないために「こんなはずではなかった」といったトラブルになってしまうケースが少なくありません。
家族間で意思の疎通をしっかりと取る上ではやはり密度のある会話は避けては通れません。
ある種の覚悟を持って話し合いを行うことが第一歩と言えるでしょう。
賃貸物件の場合には、実家の整理は早め早めに行動したくて焦ってしまうこともあるでしょう。反対に、持ち家の場合には、落ち着いてから作業したいと考えていて、月日が経ってしまうこともあります。
確かに時間的精神的な余裕がなく話し合いを十分に持てないケースもあるかと思います。
しかし、決して「これでいいはずだ」と思い込みで作業を始めることのないようにしたいものです。
家族の誰かの価値観を全員に押し付けたりすることのないよう、計画を立てていきましょう。
参考:喧嘩なく円満な実家の片付けを実現するために必要な3つの考え方
実家の整理は業者任せにしない
実家の整理でもっとも避けるべきなのが「業者任せ」にしてしまうことです。
もちろん、「よくわからないから」とか「お任せします」とご依頼いただければ、きちんとお客様に結果をお返しするのが私たちの仕事です。
しかし、安易に業者任せにしたことによって、業者の都合に振り回されてしまうことになるかもしれません。
もちろん、すべての業者が悪徳業者なわけではありませんが、遺品整理士や生前整理アドバイザーは国家資格ではないため比較的参入が容易です。そのため、さまざまな出自の業者が存在します。
最悪の場合「業者任せ」にするということは、責任を放棄することになるかもしれないのです。
業者選びは相見積もりで慎重に
ご自身やご家族で整理の作業を行えない場合など業者に依頼するときには、必ず3社の相見積もりを行なっておきましょう。
相見積もりを行う場合には、料金だけではなく見積もりにやってきた業者が信頼できる業者かどうかチェックを行いましょう。
服装が乱れていたり、言葉遣いに違和感がある場合もあるかもしれません。
また不明点は逐一すべての業者に聞いてみると良いでしょう。不明点の受け答えが見積もり担当者の経験や知識の深さに直結します。
そしてすべてを総合して最後はフィーリングで決定するのが良いのかもしれません。重要なのは「どんなことでも答えてくれて、誠実に仕事をしてくれるスタッフのいる業者かどうか」なのではないでしょうか。
❝価値の判断❞は業者でも難しい場合も。
実家の整理のをご依頼いただくとき、故人様の寝室などから、思い出の詰まったアルバムや、宝飾品、着物を事前に整理されているケースはとても多いです。
たとえば、百貨店の紙袋の中から目にしたことのない洋服や着物、宝飾品が出てくることがあります。
故人様が退職金や大枚を叩いて購入された高価な物品は専門家でないと判断できない場合もあります。
とくに実家の片付けや相続をめぐっては、骨肉の争いに発展してしまうケースが少なくありません。親世代と子供世代の認識の違いや、価値あるものを相続しようとトラブルに発展する場合があるのがその理由です。(貨幣・切手のコレクションや絵画・書といった芸術品など)
判断が難しい物品は、確かな目を持つ鑑定士に見ていただくようにしましょう。不当に低い金額で査定する悪徳業者がいると聞きますので、一層の注意が必要かもしれません。
正しい価値を把握しておくことは、相続の際、遺産分割協議や相続税の申告でとても重要になります。
身分証明や個人情報の取り扱いは慎重に
実家の整理で発見される書類の中には、重要な書類、残しておくべき書類がとても多くあります。
驕った業者や慣れていない業者に任せたり、知識なく進めてしまうと重要な書類を紛失することになりかねませんので、十分に注意しておきましょう。
身分証明になるものは確実に保管したい。
身分の証明になるものは、年金の受給停止手続きや、介護保険資格喪失届などや、遺言書(その検認)などに関わり、重要となるだけでなく、返納や諸手続きが必要なケースが多いため必ず確認しておきましょう。
- 運転免許証
- 旅券(パスポート)
- 個人番号カード(住基カード)
- 在留カード
- 健康保険証
- 国民健康保険被保険者証
- 健康保険被保険者証
- 船員保険被保険者証
- 後期高齢者医療被保険者証
- 介護保険被保険者証
- 国民年金手帳
- 国家公務員共済組合・地方公務員共済組合の組合証
- 児童扶養手当証書・特別児童扶養手当証書
- 母子健康手帳
個人情報に関連するもの
これらの個人情報でも特に重要なのは、クレジットカードの請求明細や、公共料金の領収書などです。故人様が以前にお使いだった金額がまだ引き落としされていなかったり、料金の徴収が未納となっている場合には、当然支払う必要が出てきます。
- 確定申告書(控え)
- 実家の権利書類
- 保険証券・有価証券
- 故人様の電話帳
- 年賀状などの郵便物
- 自動車・金庫などの鍵
- クレジットカードの請求明細
- 公共料金の領収書(請求書・検診票)
- 病院にて発行された処方箋
- 携帯電話・スマートフォン
- パソコン
その他の重要な物品
以下のものは、現金・預金通帳なども、ご承知の通り、相続関連などでとても重要なものです。「うちの実家には、金品は全然ないはず」そうおっしゃるお客様のご自宅から故人様のへそくりであろう旧紙幣が封筒に驚くほどの金額が入っていたというケースもございました。こうしたこともトラブルの原因になり得ます。
- 財布
- 現金
- 預金通帳
- 実印
- 契約書関連のもの(締結しているもの)
業者に依頼する前にチェックしておきたい自宅のポイント
業者に依頼する前に、ご親族で以下のような場所は必ずチェックを行ってください。
- 神棚
- 仏壇
- タンスや押入れ(見つけにくいところにある場合もあります)
- 敷布団の下(あるいはその敷布団直下の畳の下)
- ベッドやマットレスの下
- あまり着用されていない(そう思われる)コート・ジャケットのポケット
- 金庫の下(あるいは裏)
まとめ
ご実家やご自宅整理は何らかの目的があって計画されているもののはずです。
私たちもたとえば「セカンドハウスとして利用する」「解体して建て直す」「賃貸利用する」というように多くの目的を持った方にご依頼をいただいてまいりました。
これらのようにお部屋のお片付けを検討する段階では、それぞれ目的が定まっているはずです。
しかしながら「そろそろ整理を始めないといけないから」とか「片付けを行なっておかないと心配」といった漠然とした不安から作業を始めてしまったり、将来的な利用目的や明確な理由が存在しないままに片付けを開始してしまうのは避けた方が良いのかもしれません。
もちろん、金銭的な理由や時間的な理由で余裕がない場合もあることでしょう。
時間的・金銭的に猶予がない場合には、できる限り将来的な目的を事前に考えた上で作業を進めると良いでしょう。
「将来的な目的」とは単に十数年後のことだけではなく、短期的な視点も含まれます。
たとえば賃貸物件でハウスクリーニングをして退去したいと考えている場合、その後原状復帰作業を不動産屋さんが手配するためにハウスクリーニングを徹底して行う必要がなかったというケースもあるかもしれません。
もちろん、決定するのはすべてお客様ではありますが、余計な出費を軽減するためにも、何のために整理が必要なのかはしっかりと明らかにしておくと良いでしょう。
くわえて、相続した不動産などを維持するにはまとまったお金が必要となることもあります。将来的な目的や意思をしっかりと考えておくことは、必要な金銭的、時間的コストを削減することにもなるのです。