親が介護施設に入所する際の流れと注意したいポイントをまとめました。
私たちにも、退院が迫ったご両親を老人ホームで安全に生活していただくため、自宅では介護が困難ため、といった理由で介護施設のご紹介をご相談いただくことが増えています。
こうしたケースでは、家族で着替えなどを届けに仕事の合間へ病院に行くなど、ご実家の状況まで手が回らず、かといって退院後の生活方針を検討しなくてはならないと言う方がほとんどでした。
そこで、今回は介護施設に入所する際、実家をどのように片付ければ良いのか、といったポイントに絞ってご紹介いたします。
同じ課題をお持ちのご家族にとって参考になれば幸いです。
余談ですが、最近の老人ホームは企業努力によってここ10数年で大きく変化したように感じます。入所者のニーズに合わせてテーマを持って取り組まれている施設もとても多く、少し前のイメージが覆される場面も少なくありません。ご両親が安心、安全に暮らせる選択肢のひとつとして検討しても良いのではないでしょうか。
家族の協力で目的を明確に、円滑な❝生前整理❞を。
結論としてご相談いただくお客様には、ご両親が介護施設に入る際の実家の片付けは「目的を明確にして、生前整理を実施したほうが良いかもしれません」とお伝えしています。
ご両親が介護施設に入所する際の実家の片付けを私たちは「生前整理」や「ご実家のお片付け」と表現します。
ここでの「目的」とはご実家を今後どのように活用するのかを決めることです。くわしくは後述します。
親が介護施設に入る際には、実家の片付けは後回しになってしまいがちです。
しかしながら、人の住まない家は経年劣化が激しくなりがちで、放置した挙句、空き家になり多くのトラブルを抱えてしまうケースは少なくありません。
病院の退院手続き、入所手続きなどで大忙しのケースもあるかと思いますが、しっかりと実家の今後を考えた生前整理を行なっておくと良いでしょう。
「業者に頼んだ方が良い」に注意
このような情報をご紹介しているブログ記事などはポジショントーク的に「業者へ依頼した方が良い」と紹介しているケースは非常に多く感じます。
確かに、私たち業者にご依頼いただく場合には、たとえモノ屋敷のように物品が多い場合でもスムーズに1日から数日間で作業を完了させられます。
しかしながら、何でもかんでも業者に依頼した方が良いとは言い切れません。
たとえば物量が比較的少ないケースや、家族や親族の協力が得られ、時間をかけてのお片付けが可能な場合など、業者に依頼する必要はありません。
状況に応じてよく話し合って結論を出されることをオススメします。
「片付けの目的を明確にする」とはどういうことか
親が介護施設入所前のお片付けの際、目的を明確にするためにはご実家を今後どのように活用していくのか、という視点が中心になります。
施設に入ったご両親が自宅に戻らない決断をしたら、ご実家の売却や賃貸に出すなどの方法を考え、遅かれ早かれ実家の整理に着手しなくてはなりません。
長期入院や介護施設への入居、親との同居など、それぞれのパターンによっても、とるべき選択肢は変わっていくことでしょう。
軽い認知症で一人暮らしに不安があるなどの理由や、お金の問題で老人ホームの入居費用にご実家の売却費用を充てたいと考えておられる方もいらっしゃるかもしれません。
何のためにご自宅を整理するかによって片付けの方針が大きく変わることは事前に意識し、大まかに考えておかれることをオススメします。
その中でももっとも大きな関心事はご実家をどうするのか、というポイントではないでしょうか。
多くの方がご実家の売却を考えるが・・・
これまで私たちが20年間に経験してきた多くのケースでは、ご実家を具体的にどうすればいいのかは、売却か相続して実家や土地を再利用するかの2択に収束していくことが多くなる印象です。
ご実家を売却することで、介護費用の捻出や家の老朽化を防ぎ、放置することで劣化が激しくなりがちな実家の維持管理から解放されます。
しかしながら、親名義であった場合には手続きが必要であったり、ご両親の説得や家族間のトラブルの引き金となってしまっては本末転倒です。
入院後、帰る家がなくなって寂しい思いをすることになるのはご両親です。と同時に、ご家族やあなたが売却という後戻りできない決断を受け入れられず罪悪感が残る場合もあるかもしれません。
後悔のない整理のためには、可能な限り時間をかけてよく話し合い、慎重に判断することを強くオススメいたします。
なお、ご実家の対策について具体的な方法は、以下の記事にまとめておりますので是非ご覧ください。
お片付けを考えるとき、取り組む前の心構え
心構えと言うと大袈裟に聞こえてしまいますが、ご実家の処遇を決めると言うのは、そう簡単に決断できることではありません。
色々な考えが頭を駆け巡って解決できなこともあることでしょう。
そんな時は、いったん結論を先送りしても良いかもしれません。
核家族化が進んだ現代では、名実とも、すでに実家はあなたの家ではなくなっていると状況であることが少なくないからです。最大限にご両親の意思を尊重した結論を出せると良いでしょう。
もちろん早期に決断した方が選べる選択肢も多くなりますが、賃貸物件であるなど、急ぐ理由がない限り、無理して結論を出す必要はありません。
親の家の片付けはどうして困るのか
ご実家の片付けが大変な理由は、端的に物が多いこと、思い出の品を捨てられないことに帰着します。
物が多すぎる
実家のお片付けの場合には、物が多すぎて困るといった理由でご依頼いただくケースがもっとも多いように感じます。
私たちは「業者に依頼しないとご自身での片付けが難しいとお考えになる方が多い」のが実際の状況だと受け止めています。
思い出の品がある
家族の品、嫁入り道具や頂き物など、ご両親が思い出として意思があって残しているものは、捨てるという選択肢に至らないことが多くなります。
たとえ使っていないものであっても、ご両親の考えや思いを理解し、慎重に扱う必要があります。
どんなに些細な物品でも勝手に判断して、捨てることは避けるべきでしょう。
親が片付けに非協力的。片付けを非難されたら。
ご実家の活用目的や、整理の方針が大まかに決まり、家族でご実家の処遇に話し合いを持たれる時、ご両親やご親族がお片付けに非協力的あるいは拒否するといったケースもあることでしょう。
生前整理の現場で数多く見るのが「片付けるから業者の方のアドバイスを聞きながら、不用品を捨てましょう」というようなアプローチ。言われたご両親はカンカンです。
大切なのはご両親の気持ちになることです。
たとえば、一見するとボロボロになっているヤカンでも、慣れていて水量の当たりがつけやすい、といった理由で新品よりも使いやすいと言われるケースも少なくありません。
快適な環境を用意するための手段だとプレゼンする
私たちが生前整理を行うとき、快適な環境を用意するための手段であることをしっかりとご本人にご説明することで、納得していただけるケースがあります。
勝手に、自分が長く暮らして愛着のあるご実家に手を加えられるのは、気分の良いモノではないことでしょう。
しかしながら、防災や快適な環境に変化することを丁寧に説明すればわかっていただけるはずです。
大切なのは、結果を急ぐあまりに、プロセスを無視してしまうことです。
ご実家で暮らしていたご両親の立場で、同じ目線でメリットをお伝えするように心がけましょう。
といっても、非常にハードルが高いことも十分に承知しています。しかしながら、数十年を過ごしてきた環境を変えるというのはそれだけハードルが高いと受け入れることで、家族全員が新生活を迎える良いきっかけとなるはずです。
実家の片付けを業者に依頼する方法
実家の片付けを業者に依頼する場合には、業者によってサービス内容や料金が異なることに注意し、2〜3社以上の業者に見積もりを依頼するのが良いでしょう。
なお、お片付けの費用は概算などの見積もりを算出することが難しく、相場や費用感は現場によって大きく変化します。
そのため、ネット完結型での一括見積もりでは実際の請求料金と大きな差が生まれる可能性のあることに注意が必要です。
まとめ
不意に発生する入院や施設入所などに関するご実家をめぐる問題は、すぐに判断し結論を出すことの難しい問題であることに変わりはありません。
そのため、普段から有事に備えて簡単に話をしておくことはとても有用です。
仮に業者に依頼するとなった場合の業者選びよりも、事前にご両親の意思をしっかりと聞いて、後悔のないお片付けにすることの方が遥かに重要で、難しいケースも多いように感じます。
私たち横浜ベスト遺品整理社では、こうした生前整理についても知見を有しており、自信を持ってご利用いただける体制を整えております。
お困り事がございましたら、お気軽にお声かけください。