実家の売却は、いつか解決せざるを得ない課題として、多くの人が心配しているポイントです。
課題として確かに存在していることはわかっていても、売却を考えるタイミングは人それぞれ。
私たちへも実家の売却についてご相談いただくケースも多かったりします。
両親が恒例となって一人で暮らすのが難しくなったり、相続によって複数の所有者が出るなどした場合、あるいは単に資産として最適なタイミングで手放したいと考えるケースなど、多様な状況で売却を決断する方たちと出会ってきました。
このような状況でもっとも重要なのが、実家の適正価格を知ることです。
不動産適正価格と比較して、間違った価格で売却してしまえば、将来的に大きな損失を招きます。
他方、高すぎる価格で売り出してしまうと、長期的に売れ残る危険があります。
適切な価格を知ってから具体的な検討に入るのは、とても重要なポイントです。
そこで今回は、お悩みの方の多い実家の不動産価格評価において重要な「相場の把握」と「相談すべき専門家の選び方」に焦点を当ててお伝えします。
実家の売却を検討していらっしゃる方、とくにどのように価格を知るべきか不安に感じていらっしゃる方にはお役になてるのではないかと思います。
不動産の売却は一生に一度あるかないかの大きな取引です。そのため、十分な知識と準備が必要です。
賢い不動産売却を行うために今回の情報がお役に立てば幸甚です。
実家の価値を正しく知ろう:不動産価格評価の重要性
不動産の売却において、正しい価格評価を知ることは当然ですが、重要なのはなぜ正しい価格を知る必要があるのか、という理由の部分ではないかと思います。
あなたが所有する自宅を不動産業者に売却した場合、クーリング・オフ制度を利用することはできません。安易に売却の契約をしてしまうと、住む場所が見つからなかったり、解約の際に違約金を支払うことで生活資金が少なくなったりといったトラブルに巻き込まれかねません。高齢者を中心にトラブルになっているケースも見られるのです。まずは実家の価値を知り、しっかりと売買のプロセスを理解しておくことが重要だと言えるでしょう。
- 資産価値の最大化させることで、損する確率を低くできる
もっとも重要だと言えるのが、資産価値を正しく見積もることで、最大限に価値を生かした販売が可能となることです。
たとえば、低すぎる価格設定は明らかな資産の損失となりますが、高すぎる価格は売却を困難にさせ、最終的には価格を下げる羽目になる可能性が高くなります。
適正な価格評価が行われることで、不動産の資産価値を最大限に活かすことが可能です。
- 売却スピードへの影響
適正な価格評価がなされた物件は、市場に合った価格であるため売却がスムーズに進む傾向にあります。時間がかかりすぎると、物件が古くなる、または維持費がかさむ等の問題が出てくる可能性があります。
- 信頼と透明性
購入者側も、適正な価格評価が行われていることを確認できれば、取引に対する信頼感が増します。透明性のある取引は、後々のトラブルを防ぐ点でも重要です。
- 交渉力の強化
適正な価格評価に基づく情報があれば、購入希望者との価格交渉においても有利な立場を保つことができます。無知な状態で交渉するよりも、明確な根拠を持って交渉する方が、より良い条件を引き出す可能性が高まります。
- 相続税や税金の計算
適切な価格評価は、相続税や譲渡所得税を計算する上でも基礎となります。不適切な価格設定は税金面でのリスクも引き起こす可能性があります。
以上のように、不動産価格評価は単なる売却価格を決定する手続き以上の意味を持っています。
実家の売却を成功させるためには、この価格評価が適正であることが不可欠です。
では、実際にはどのように適正価格を判別していくべきなのでしょう。
次に実際に把握するかについて詳しく解説していきます。
今日できる簡単な方法も:市場相場の調査方法
実家の不動産を適正な価格で売却するためには、市場相場の調査が欠かせません。以下はそのための主要な調査手法です。
公示地価・路線価の確認
公示地価や路線価は、政府や自治体が公開する土地の基準価格です。これを参考にすることで、土地自体の相場をある程度把握することが可能です。
不動産情報サイトの利用
多くの不動産情報サイトが販売物件や過去の取引価格を公開しています。同地域や近隣地域での物件価格を比較することで、実家の相場価格を推測する材料になります。
専門業者による査定
不動産会社や査定業者が提供する無料査定サービスを利用すると、より正確な価格評価が得られます。専門の評価士が物件に出向き、建物の状態、地域性、近隣の価格などを総合的に評価して査定額を提供します。
不動産オークションの参照
不動産オークションの結果も参考になる場合があります。
ただし、オークション価格は特別な事情により低く設定される場合も多いので、参考程度に留めのがオススメです。
地域の不動産業者との相談
地域に詳しい不動産業者は、そのエリアでの不動産価格についての豊富な情報を持っています。直接相談することで、その地域特有の市場動向や特性を理解できます。
市場相場の調査は、多角的に行うことでより精度の高い価格評価が可能ですが、ひとりだけでは取り組むのが難しい場合もあるかもしれません。
そんな時に頼りになるのが専門家への相談です。しかし、専門家への相談は誰にどのように相談すれば良いのか分からず、お困りの方も少なくないことでしょう。
次の章では、専門家の選び方とその方法について詳細に説明します。
不動産の専門家が果たす役割
多くの複雑な要素と登記などの法律的な知識を求められる不動産の売却は、専門家の支援が不可欠です。
ここでの専門家とは主に、国家資格である宅建(宅地建物取引士)や不動産鑑定士、土地家屋調査士のことをいいます。
これらの資格の他に、賃貸物件の管理について正しい知識と技能を持つ賃貸経営不動産管理士や、マンションに関して専門知識を持つマンション管理士といった資格を持つ人たちのサポートが必要となる可能性もあるかもしれません。
これら専門家が土地の場所や建物の状態、市場動向に基づいて、過去の取引データおよび地域の開発計画をもとに、正確な価格査定を行い、物件がどのような価格であれば売れる可能性が高いかを分析します。
また、土地や建物の売却に関する法的制約や規制を踏まえたリーガルアドバイスも提供します。
さらに、売買契約には多くの法的手続きが必要となり、これらの手続きのサポートも専門家が担当します。必要な書類の準備、契約内容の確認、さらには交渉の代行までを含む、一連のプロセスを専門家が効率的に進められるでしょう。
専門家を選ぶためのポイント
専門家を選ぶには以下のようなポイントに気をつけると良いでしょう。
ポイント | 説明 |
---|---|
資格と経験 | 専門家が持つ資格と経験年数が重要。特に、不動産売買に関する資格と地域に精通しているか。 |
過去の実績 | 取引実績や顧客評価を通じて、専門家の能力と信頼性を評価する。 |
コミュニケーション能力 | 長期的な関係性を考慮し、明確で迅速なコミュニケーションができるかを確認。 |
料金体系 | 査定やコンサルティングに料金が発生する場合、料金体系が明確で予算内で収まるかを確認。 |
サービス内容 | 提供されるサービス内容を明確にし、自分のニーズに合っているかを評価(法的サポート等)。 |
口コミと評判 | インターネットや知人からの口コミは重要な判断材料。良い評判が多ければ信頼性が高い。 |
第一印象 | 面談した際の第一印象が専門性や誠実性を感じるかどうか、そしてその後の関係性に影響する。 |
専門家選びは煩雑なプロセスであるかもしれませんが、これらのポイントを考慮することで、不動産売却がスムーズかつ効率的に行える可能性が高まります。
業者によるトラブルは絶えない
不動産は売買の単価も大きなものになるため、悪徳業者に狙われやすく、トラブルも絶えません。
独立行政法人国民生活センターには、自宅売買のトラブルによる注意喚起が数多く掲載されています。
- 国民生活センター「自宅を売っても住み続けられる? リースバックは慎重に検討して!(見守り情報)」
- 国民生活センター「自宅を訪ねて来た不動産業者から自宅を売却してほしいと勧誘されましたが、売却する時にはどんなことに気をつけたらよいでしょうか。(消費者トラブル解説集)」
- 国民生活センター「自宅を売ってほしいという不動産業者の勧誘が迷惑なのでやめさせたい(消費者トラブル解説集)」
- 国民生活センター「高齢者の自宅の売却トラブルに注意-自宅の売却契約はクーリング・オフできません!内容をよくわからないまま、安易に契約しないでください-(発表情報)」
売買の際には、以下のようなトラブルに見舞われやすく、注意すべきでしょう。
- 重要事項説明に関するもの: 重要事項説明が不十分または不適切である場合、後にトラブルが発生する可能性があります。
- 契約解除に関するもの: 契約が一度成立すると、一方的に契約を解除することはできません。契約解除に関する誤解や不明点があると、後に問題が起こることが多いです。
- 瑕疵(目的物の不具合等)に関するもの: 売買物件の瑕疵が後から発覚した場合、トラブルの原因となることが多いです。
これらのトラブルの原因には、媒介業者の調査や説明不足があるケースもありますが、売主・買主が契約の内容について十分な理解をしていない場合も多いのです。
査定方法の種類
不動産の価格評価(査定)にはいくつかの一般的な方法が存在します。それぞれの方法が何を重視しているのか理解することは、不動産の売却を成功させるために非常に重要です。
まとめると以下のようになります。
査定方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
取引事例比較法 | 近隣の取引価格を基にして直感的な査定が可能。 | 近隣の取引データが不足している場合、査定が難しい。 |
収益還元法 | 商業用地や賃貸物件に適し、将来収益を考慮できる。 | 将来収益の予測が不確かな場合、査定額も不確かになる。 |
原価法 | 新築や特殊建物に対して、具体的な再建築コストを基に査定。 | 建築コスト以外の多くの要素(立地、需要等)が考慮されない。 |
オンライン査定 | 簡単で手軽に査定額の目安を知ることができる。 | 簡易査定であるため、詳細な査定には専門家の評価が必要。 |
少なくともいくつかの方法を組み合わせることで、より正確な査定となる可能性があります。
実家の価値を知る上での注意点
実家の価値を知ることができた後、判断するまでにも重要なポイントがあります。
とくに査定額が確定的なものではなく、相対的なものであることに注意すべきでしょう。査定額は市場の状況や需要に影響されます。そのため、複数の専門家に意見を求めるのが重要です。
また「高い査定額が良い」とお感じなる方もいらっしゃるかもしれませんが、これはよくある誤解です。
高い査定額を出す専門家が必ずしも良い専門家というわけではありません。当然のように思えますが、意外と盲点だったりします。現実的な販売価格と大きくかけ離れた査定は、最終的には売却に時間がかかる可能性があるだけではなく、塩漬けになった挙句、狼狽して二束三文での買取となってしまうケースも少なくないからです。
加えて、近隣の取引価格やオンライン査定によっておおよその相場感を理解できたように錯覚してしまうこともありますが、それは適切ではありません。
インターネット上の一般的な価格相場や近隣の不動産価格は参考の一つですが、物件の状態、築年数、設備なども査定に影響するからです。
まとめ
不動産価格の評価は、実家を売却する際のもっとも重要なステップの一つです。
価格を知るには専門的な知識と経験が必要とされます。市場調査から査定方法の選択、そして専門家の選定まで、各ステップは重要な意味を持ち、最終的な満足感に大きく影響します
当記事が、実家を売却しようと考えている方々にとって、価格評価のプロセスをスムーズに進め、適切な価格での売却を実現するための参考になれば幸いです。
最後までお読みくださいましてありがとうございました。