終活や生前整理、または遺品整理といったお家のお片づけにとって、最も重要なポイントとも言えるのが「仕分け」です。
仕分けを短時間に効率よく進めることは、片付けの労力を大幅に減少させることにつながります。
仕分けを効率よく進めるために重要なポイントは「ものを手放す基準」を持つことに他なりません。
今回は、お家のお片づけに取り組まれる皆さんに「ものを手放す基準」について業者の考え方をご紹介します。
物を捨てる基準が二者択一では、正しい分別ができない。
まず最初に、一般的な方法論として雑誌等で紹介されている「二者択一」の方法について考えてみます。
「白黒をつける」という諺に象徴されるように、普段から私たちは、「良い」「悪い」とか「優れている」「劣っている」というように、二者択一による分別を行ってしまいがちです。
しかしながら、二者択一の考え方では、分別に大きな労力を使ってしまうことになります。
要不要と2つに分別する方法では時間の浪費に。
2つに分別するという考え方は、反射的に要る要らないを判断できない思い出の品や、まだ使うかもしれないもの、を分別する時に混乱を生みます。
例えば、自宅の大掃除などの際に、必要なくなった衣類を分別する際のことを考えてみましょう。
まだ一度も使っていないホットプレートやたこ焼き機が押入れから出てきたところを想像してみてください。
いつか使うかもしれないものを手に持ったまま「どうしよう?」と考える時間を生んでしまいます。
分別に2分程度考えたとしましょう。こうした物品が10点もあれば、20分の時間を浪費することになります。
壊れているか、壊れていないかは、物を減らす参考にならないことも。
次に、対象となる物品が壊れているのか、壊れていないのかを、判断基準としてお持ちの方も少なくないと思います。
しかし、そもそも物品が壊れたら処分をすることが必然的となるため「物量を減らす」という点で、根本的な解決にならない場合が多くなってしまいます。
基準として、壊れているかどうかではなく、自分、あるいは家族にとって必要かどうかを判断基準として持つことが、重要だともいえるでしょう。
もちろん、要否云々の前に、壊れてしまっているのに処分されていないものが沢山残されている場合には、まず壊れているものを処分するという考えで、仕分けを行なっていくことも重要です。
物を捨てる判断基準は3つにしよう。
では、具体的に仕分けを効率よく短時間で行うために重要な判断基準とは、どのようなものでしょうか。
結論として、以下の図のように必要・不要に加えて「保留」を加えることをお勧めしています。
この「保留する」という考え方を取り入れることによって、考える時間が非常に少なくなります。
言い換えれば、要否の判断を先送りすることで、判断の時間を少なくすることができるのです。
必要な物品は「ないと生活が困る・これがないなんて想像できない」という物品を入れると良いでしょう。
不必要な物品には「壊れてしまっているとか、
保留という考え方は便利だが、注意点も。
注意点としては、非常に便利な表現ですから、全ての物品が保留に収まってしまうと、片付けたことになりません。
とはいえ、重要なのはバランスと、仕分けを行ったという事実です。
バランスとして、やはり必要な物品が少ないことが多く、保留、不要という順番で物品が多くなる傾向が見られます。
家に溢れかえる物品に対して、自分や家族で判断して仕分けを行なったという事実は、とても貴重です。
まずは、この3つに分類して作業を進めてみてください。
捨てることは必ずしも悪ではない。
物を手放すのが苦手な人や溜め込んでしまいがちな人にとって、捨てることは「悪」と感じられる方も少なくないように感じます。
確かに、せっかくあるものを捨てるのは気が引けるという方もいらっしゃると思います。
「『捨てる』はタブー:これを言うから作業が進まなくなる。」でもご紹介していますが、こうした方は「捨てる」という表現ではなく「手放す」と表現してみると良いでしょう。
手放すという考え方の先には、次に利用される方が目に浮かびます。
捨てるのはもったいないと考える方は、インターネットオークションや寄付などの方法で、次に使う方を探す方法を考えてみるのが良いでしょう。
保留の物品を手放す際の判断方法
保留に分類された物品は、新たに判断を行うことになります。
判断の時期は、ご自身の余裕や居住スペース、今後の生活を参考にして出来る限り余裕を持って、ゆるく判断していくのが良いでしょう。
保留の物品は、必ずしも必要ではないが、今後利用する可能性があったり、処分する・手放すという判断が難しい物品となる場合が多いように感じます。
遺品整理作業では、この保留の物品はお客様に確認の上で、その判断をお客様に委ねたり、これまでの経験から保留の物品に関してご依頼主のご家族に助言を行なっています。
以下に、保留に収まった物品を判断する基準を一部ご紹介します。
- 最初の仕分けでは気づかなかったが、よく見ると痛んでいたり、破損しているもの。
- 過去1年間あるいは今後1年間使用することがないもの。
- 何のために利用するのか用途を考えても、すぐに思いつかないもの。
- 他に代替できる物が存在するもの。
- その物品があることによって、嫌な気分になる、ストレスを感じるもの。
- よくよく考えれば、必ずしも大切な物品ではないと判断できるもの。
- 過去に必要だと感じていたが、現在の自分にはもう必要ないと思うもの。
- 他人や家族に見られると恥ずかしさを感じるもの。
- 自分や家族の意思とは関係なく、自宅にあるもの。
以上のような判断基準を持たれることで、保留の物品も判断することが出来るようになることでしょう。
仕分けを制するものは整理を制す?
今回ご紹介した内容は、実家の整理に限らず、日々の生活にもお役立ていただける考え方ではないかと思います。
なぜなら、自宅を整理しようと考える理由の一つに「家の中の物品を減らす」という考えがあるからです。
自分や家族に必要なものかどうかの判断基準を必ずしも2つにせず、3つの分別方法をお試しいただくだけで、効率の良い整理整頓が可能になる事でしょう。
今回ご紹介した「仕分け」ですが、実は、私たち業者の間では、整理の際の的確な仕分け・判断基準で差がつく事が多く、これまでの経験が問われる部分なのです。
さらに「実家の整理で残しておくべきリスト一覧」のように、実家の整理で残しておくべきリストは多岐に渡ります。
加えて、一つ一つ物品の重要性もご家族の間では全く異なることも少なくありません。
ご実家の整理でお困りの際には、私たちでお役に立てる事もあるかと思いますので、お気軽にご相談ください。