この記事に辿り着かれた方の中には「自宅がゴミ屋敷化してしまっていて他人に見られることが怖い」「片付ける気力が湧かないが、ストレスや焦りばかりが募る」など、帰宅してから自分自身の生活状況に対する悲しみや無力感を感じてしまわれている方もいらっしゃるかも知れません。
確かに、一旦ゴミ屋敷化してしまうと、ご自身で抜け出すのは容易ではないかもしれません。
しかし、少しでもゴミ屋敷を解消したいとお考えであれば、この記事もすでに大きな一歩。今日からできることはたくさんあります。
私たちは、これまで数多くのお片付けに携わってまいりました。ひとつとして同じ現場はなく、それぞれ抱えている課題もさまざまです。
一方で、ゴミ屋敷を片付けようとするプロセスはいずれの場合にも共通しています。
今回は、ゴミ屋敷の解消から新生活へのスムーズな一歩を踏み出していただくために、ゴミ屋敷の片付けから、心理面での支援、新しい生活習慣をどのように作り出していくのかなど、くわしくご紹介いたします。
この記事が、あなたやあなたのご家族の新しいステージへの第一歩となれば幸甚です。
近隣住民の申告によって発覚することが多いのがゴミ屋敷
ゴミ屋敷化しているご自宅の発覚やお片付けは、隣人の申告によるケースが非常に多い印象があります。
例えば、下の部屋で「天井から水が漏れている」という漏水の原因を特定するために訪問したお部屋がゴミ屋敷であった、といったケースや、臭いが気になるので確認したところゴミ屋敷化してしまっていたというケースです。
このように隣人への影響が深刻なケースでは、すぐに解決が求められます。
専門の業者に見積もりを依頼し、可能な限り早期に解決することが求められます。
それぞれ多くのご事情がおありになると思いますが可能であれば、こうした事態になる前に、当記事を参考にしていただき、新しい生活への一歩を踏み出していただきたいと思います。
ゴミ屋敷は、何が問題で、どのように解決したら良いのか。
大量のゴミと散乱したモノ
ゴミ屋敷の最大の問題点は、大量のゴミや散乱した物品があることです。部屋に対して物品が多すぎるだけで、スペースの確保が難しく、満足な掃除が難しくなります。結果としてゴミを片付けることができなくなり、生活空間を狭くするという悪循環になってしまうのです。
これらを解決するには、地道に要・不要を判断する仕分けを多ない、不要なものを適切に廃棄し、必要な者を整理して保存する方法を考えるしかありません。
自力での片付けが困難なケースが大半
前述したように大量のゴミや物品が散乱していると、自力での片付けが非常に難しくなります。こうしたケースでは、専門業者に依頼するという選択肢しか残されていないケースも少なくありません。
当記事では、なるべくポジショントーク的に「業者に任せるべき」という方向性でご紹介したくはないのですが、物量が尋常でない場合、自力での清掃を諦めるというのは賢明な判断なのかも知れません。
生活の「リセット」の難しさ
例えば、引越しをしてゴミ屋敷のような状況をリセットしてやり直そうと決意しても、物品が多く片付いていない状態での引越しは不可能です。
リフォームや原状回復工事が必須の場合が多く、金銭的な負担が大きくなるのも、ゴミ屋敷問題の解決が.難しい原因のひとつなのかも知れません。
時間と労力が不足していて片付けに着手できない
自力でゴミ屋敷を解消するためには、膨大な時間とエネルギーが必要で、さまざまな理由でサポートを得られないと感じて諦めてしまっている方もいらっしゃることでしょう。
しかし、業者に依頼せずともスケジュールを作成し、やるべきことをリストにして、1日〜1週間のスパンでお片付けを行うのも可能です。
しっかりと事実と向き合って家族や友人からのサポートを得ることができるかも知れません。取り組むという決意が解決へと導いてくれることもあることは忘れないでいただきたいと思います。
ゴミ屋敷を解消するための具体的な流れ
それでは次に具体的な流れについてステップ毎にご紹介していきます。
あくまでも一例ですが、多くの場合、以下のような流れで作業を行うのが一般的です。
ステップ1:自己認識と決意
まず、自分、あるいは家族の家がゴミ屋敷化していることを受け止めることからはじめます。
いわば「解消する決意を固めること」だと言えるかも知れません。
ゴミ屋敷に至った背景は人それぞれであり、現実を直視するのが難しいケースも少なくありません。少しずつでも現実を受け入れる準備を行うことが重要だと言えそうです。
この点については後述します。
ステップ2:計画を立てる
ゴミ屋敷の片付けについて受け入れ、ゴミ屋敷の片付けをしようと決意されたら、次は、ゴミ屋敷をどのように解消するか計画を立てます。
部屋ごとにどの順番で片付けるか、どのくらいの時間をかけるか、どの物を捨てるか等をリストアップしていきます。
ステップ3:専門業者の選定
自力での清掃が難しいケースがほとんどのゴミ屋敷清掃は専門業者に依頼するケースが多くなります。信頼できる業者を選ぶためには、3社以上に現地での見積もりを取ることが重要です。比較サイトを利用すると割高であるとか、あなたの意思が正しく反映されないと言ったケースもあることから注意が必要です。
ステップ4:事前の準備
業者の作業が始まる前に、自分でできる準備を行なっておくのも良いでしょう。
とくに発見して欲しいものをリストに書いておいたり、自分が普段使っている大切な物や必要なモノについては事前に手元に置いたりしておくと安心です。
ステップ5:専門業者との清掃
業者による清掃は一任するケースが一般的ですが、ご自身と一緒にお片付けを行えることもあります。とくに趣味のものが大量に保管されているケースなどではご本人やご家族が参加して作業を行うことで出てきたモノについてその場で確認することもできます。
ステップ6:原状回復工事・リフォーム・引越し業者の選定
清掃が完了したら、状況に応じて、原状回復やリフォーム工事が必要なケースもあります。その場合には、それぞれの業者に対して見積もりを取ったり、賃貸物件のオーナーさんとの調整をしたりする場合もあります。
また、お片付けを機に引越しを行う場合には、引越し業者に見積もりを取っておかれると良いでしょう。
ワンストップで対応が可能という業者が現れたとしても個別の業者に対して別々の見積もりを提示することが重要です。
以上のステップで、ゴミ屋敷状態のお家を解消し、新しい生活を始めることができることでしょう。諦めることなく、小さな歩を積み重ねることで、大きな変化をもたらすことができると信じることが最も大切なのかも知れません。
心理的支援の重要性:ゴミ屋敷の解消へのキーポイントは心の問題
ゴミ屋敷を解消するためには、物理的な清掃だけでなく、心理的な支援が必要不可欠です。
ゴミ屋敷の状態がしばしば心の健康に密接に関連しているからです。
「強迫的ホーディング」とその原因
新しくモノを取得することは、多くの喜びをもたらし、ストレス発散につながることもあります。しかし、モノに執着するがあまり、不要になっても処分できずにいつまでも所有し続け、心に大きな問題をもたらすこともあります。
近年では他の人にとって価値がないと思われるモノを大量にため込む行為は「強迫的ホーディング」と言われ、強迫性障害や日常的な行動として多くの研究がなされています。
ホーディングに至る原因は、モノに対して特別な意味や価値を見出すこと、モノとの感情的な結びつきが強いこと、モノを整理したり処分したりすることに対して、決断を下すことが困難なことなどが挙げられます。
※強迫性ホーディングが、すべてのゴミ屋敷の直接的な原因ではありません。
ホーディングへの理解と対応
背景には本能的な行動や心の問題、あるいは幼少期の環境、認知症、近親者の死などの重大な喪失経験などを契機としてホーディングに至るケースも多く、どなたでもモノを溜め込んでしまうきっかけが存在していることに目を向けなくてはなりません。
対処法とサポートの必要性
ゴミ屋敷化してしまった自宅の状態に対する恥ずかしさや、片付けを始める気力の欠如は、ゴミ屋敷を解消するための大きな障壁となります。
だからこそ、自分自身を非難するような気持ちになるのではなく、できる限り前向きに状況を受け入れ、困難な時期を乗り越えるために家族や友人からの理解とサポートを得ることが重要な要素となります。
また、家族や友人からのサポートが得られないと言った場合には、心理療法士やカウンセラーの利用も視野に検討すると良いでしょう。こうした専門家は、個々の状況を理解し、恥ずかしさや気力の欠如を克服するためのストラテジーを提供してくださるかも知れません。
ゴミ屋敷問題は、単に物の整理整頓の問題だけでなく、深層心理や生活習慣、時には精神的な問題とも繋がっているからです。
適切な支援と理解のもとで、誰でも同じような境遇になる可能性があることに配慮し、ご自身やご家族がホーディングの傾向を持っていることを認識し、受け入れることが第一歩だと言えるでしょう。
新しい生活習慣の作成:スムーズな転換と持続的な改善への道
ゴミ屋敷の清掃を乗り越え、仕切り直したあとにもやるべきことがあります。
この段階で重要なのが新しい生活習慣の作成です。
再びゴミ屋敷となってしまうのを防ぎ、快適で健康的な生活空間を維持するためには、以下のような新しい生活習慣を身につけたいところです。
日常的な整理整頓:日常的な整理整頓を習慣化すれば、多くの問題が解決します。日々の生活で発生するゴミの適切な処分、物の定位置の設定、定期的な清掃が中心になるでしょうか。
時間管理と計画性:時間管理と計画性も重要な要素です。例えば、仕事で忙しい日が続いているような場合には、一日の終わりなどに休日の掃除場所や、やるべきことをリスト化して計画するなどしてモノが溜まることを防ぐ計画を立てると良いでしょう。
メンタルヘルスのケア:新しい生活習慣を作り上げていく上で外せないメンタルヘルスのケア。ストレスをため込まない方法を学んで、生活の質を高め、良好な生活習慣を維持するためにカウンセリングなども積極的に活用すると良いでしょう。
まとめ:新生活への一歩を踏み出すために
ゴミ屋敷からの脱却を目指すことは、単に物理的な空間を整理整頓するだけでなく、当事者・ご本人の生活スタイルや習慣を見直す大きな一歩を踏み出すことを意味し、これこそがもっとも望まれていることなのかも知れません。
しかしながら、多くの困難な状況にも直面し、投げ出したり諦めたりしたくなることもあると思います。
しかしながら、専門家からの支援を利用して適切な計画をたてれば、ゴミ屋敷状態は十分に脱却できます。
これまで私たちもたくさんのゴミ屋敷状態のお家のお片付けを行なって参りました。
もしもお困りの方がいらっしゃいましたら、ご相談ください。お力になれることがあるかも知れません。
快適な生活空間を取り戻すだけでなく、心の中にも広がる新しい生活の始まりは、あなたと家族全員にとって、より良い未来を切り開く重要なステップとなるはずです。
この記事が、あなたの新生活への一助となればこんなに嬉しいことはありません。
ゴミ屋敷状態のお部屋から快適な生活環境を維持できるお部屋になることを、私たちは心から応援しています。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。