実家や自宅の解体や建替えに補助金が受け取れる制度は、少なくありません。
実家が該当地域に存在していれば、場合によっては100万円〜千数百万円の補助金が受け取れる制度をご紹介します。
なお、これらの制度は、防災や空き家の問題を解決するという目的で作られた制度であるため、対象となるケースや金額が明確に決められています。
今回ご紹介する内容は、インターネット検索や各自治体の窓口などで問い合わせを行った結果をまとめたものですが、制度の内容を保証するものではありません。
制度を利用する際には、必ず地方自治体の窓口にお問合せください。
当社へも助成金を利用した解体工事についてご相談いただけます。
防災を目的とした家屋の解体に手厚い補助=不燃化特区支援事業
かねてより「木密不燃化10年プロジェクト」など阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、防災都市づくり推進計画を1996年ごろから防災対策を行ってきた東京都は、新たに「防災都市づくり推進計画」を取りまとめ、「燃えない」「倒れない」震災に強いまちづくりを実現するための計画を実施しています。
防災の観点からとりわけ大きな被害が予想される地域を設定し、重点的かつ集中的に取り組む「不燃化特区」を定め、不燃化の建替えを行うなどの場合、除却費、建築設計費及び工事監理費の一部を助成していただけます。これを「不燃化特区支援事業」と言っています。
主に、木造密集地の防災力向上を目的とした建て替えや防災道路建設が目的のようです。広域避難場所に指定されている公園や広場の周辺や、避難道路に指定されている幹線道路の沿線地区で、避難するときのルート確保や延焼そのものを防ぐための道路整備を狙いとしています。
不燃化特区に指定されているのは、以下の山手線の外側の地区で、主に木造住宅が密集している地域です。首都直下地震が発生した場合に地震火災で大きな被害が予測されているために、災害時に、市街地の延焼を遮断して、避難や救助活動など防災上効果の高い道路を確保することを目的に令和7年度までの整備を目標にしているとされています。
不燃化特区支援事業の内容
不燃化特区支援事業の対象地域や金額は区によって異なっているものの、おおむね、対象地域に現在存在している物件の所有者に対して、解体・建て替えを行う場合に補助金が助成されます。
建て替えの場合の要件は、2階建て7m以上の耐火建築物でなければならないなどの要件があります。
また、販売のために買い取った物件を不動産業者が立て替えるケースなどは対象になりません。
具体的な助成内容は区によって異なるため、今回は品川区を例にとってご紹介します。参考:品川区の不燃化特区支援制度パンフレット(PDF)
くわしくは、品川区HPの「不燃化特区支援事業」に非常にくわしい説明が掲載されていますので、こちらをご覧ください。簡単にまとめると以下の通りです。
いずれのケースでも、契約後には助成金の適用が受けられなかったり、制度の仕組みを理解していないままでの申請が難しいことから、事前に内容をしっかり把握するようにしておきましょう。
専門家の派遣
権利の移転や建て替えなどに関する相談に対して、弁護士や税理士などの専門家を派遣、相談に乗っていただけるようです。
登記や名義変更、ローンなど、相談内容に応じた専門家をご紹介いただけるのは強みかもしれません。
解体についての費用を助成
品川区の場合、対象地域にある木造建築物の場合、のべ床面積1平米あたり最大27,000円(上限1,350万円)、軽量鉄骨造でのべ床面積1平米あたり最大38,000円(上限1,900万円)の解体費用が助成されます。
具体的には以下のように定められています。
〇助成対象建築物
1 不燃化特区内にあること
次のいずれかに該当するもの
2 平成17 年3月31 日以前に建築された木造建築物(ただし、平成5年6月25 日以降に建築された、階数が3 以上の建築物および延べ面積が500 平方メートルを超える建築物は除く)
3 昭和56 年5月31 日以前に建築された軽量鉄骨造建築物
4 区の調査によって危険であると認められた築年次不明の木造建築物
引越しに必要な費用を助成
品川区の場合、解体に伴う住み替えを行う際に必要な転居一時金・移転費用・家賃(3か月分)の助成も盛り込まれています。
家電の設置や取り外し、家財等の処分費は対象外ですが、まとまった金額の引越し費用を助成していただけるのは、この制度の大きなメリットのひとつです。
最大一時金42万円、家賃3か月分42万円、引越し費用17万円を助成していただけます。
建替えについての費用を助成
老朽建築物を解体し、耐火建築物とする場合に、工事費用を助成していただけます。
床面積によって値段が変わり、60平米118.2万〜1,000平米以上で960.3万円が助成されます。
耐震化支援事業と比較して有利な助成を選択可能なため、もっとも有利なケースを専門家との協議の上で決定すると良いでしょう。
固都税の減免が5年間受けられる
品川区の場合、取り壊して更地にした場合、適正に管理されていれば土地に対する固都税(固定資産税・都市計画税)が5年間、8割減免されます。
また、立て替えた場合には、家屋に対する固都税を5年間、すべて減免(10割減免)されます。
適正管理や減免申請は必要ですが、手厚い制度と言えるでしょう。
くわしくは、品川区のHPや窓口でお尋ねになると良いでしょう。
制度は品川区以外にも
不燃化特区の事業は品川区に限らず都内の各地域で行われています。
また、横浜市や川崎市でも同様の事業が行われています。
東京都の不燃化特区
くわしくは、東京都都市整備局HP「不燃化特区の取組」をご覧ください。
東京都都市整備局HP「不燃化特区の取組」
区名 地区名 各区の情報ページ 目黒区 目黒本町五・六丁目、原町一丁目、洗足一丁目地区 詳細 墨田区 京島周辺地区 鐘ヶ淵周辺地区 詳細 北区 十条駅周辺地区 志茂・岩淵地区 赤羽西補助86号線沿道地区 詳細 豊島区・北区 補助81号線沿道地区 詳細 豊島区 東池袋四・五丁目地区 池袋本町・上池袋地区 補助26・172号線沿道地区 雑司が谷・南池袋地区 詳細 文京区 大塚五・六丁目地区 詳細 品川区 東中延一・二丁目、中延二・三丁目及び西中延三丁目地区 補助29号線沿道地区(品川区) 豊町四・五・六丁目、二葉三・四丁目及び西大井六丁目地区 旗の台四丁目・中延五丁目地区 戸越二・四・五・六丁目地区 西品川一・二・三丁目地区 大井五・七丁目、西大井二・三・四丁目地区 放射2号線沿道地区 補助28号線沿道地区 大井二丁目地区 詳細 板橋区 大谷口一丁目周辺地区 大山駅周辺西地区 詳細 中野区 弥生町三丁目周辺地区 大和町地区 詳細 大田区 大森中地区(西糀谷、東蒲田、大森中) 羽田二・三・六丁目地区 補助29号線沿道地区(大田区) 詳細 台東区 谷中二・三・五丁目地区 詳細 足立区 西新井駅西口周辺地区 足立区中南部一帯地区 詳細 世田谷区 太子堂・三宿地区 区役所周辺地区 北沢三・四丁目地区 太子堂・若林地区 北沢五丁目・大原一丁目地区 詳細 杉並区 杉並第六小学校周辺地区 方南一丁目地区 詳細 新宿区 西新宿五丁目地区 詳細 渋谷区 本町二~六丁目地区 詳細 荒川区 荒川・南千住地区 町屋・尾久地区 詳細 江東区 北砂三・四・五丁目地区 詳細 江戸川区 南小岩七・八丁目周辺地区 松島三丁目地区 平井二丁目付近地区 南小岩南部・東松本付近地区 詳細 葛飾区 四つ木一・二丁目地区 東四つ木地区 東立石四丁目地区 堀切二丁目周辺及び四丁目地区 詳細
横浜市・川崎市の不燃化事業対象地区
- 横浜市「不燃化推進地域」
- 川崎市「川崎市不燃化重点対策地区における建築物の不燃化の推進に関する条例について」
市名 | 地区名 | 各区の情報ページ |
---|---|---|
横浜市 |
旭ケ丘、神大寺一丁目、栗田谷、斎藤分町、中丸、二本榎、松本町2丁目及び4丁目、六角橋三丁目、六角橋四丁目、六角橋五丁目の全域神大寺四丁目、西神奈川三丁目、平川町、広台太田町、松本町1丁目及び3丁目、三ツ沢上町、三ツ沢下町、三ツ沢中町、六角橋二丁目、六角橋六丁目の各一部 白幡上町、白幡西町、白幡南町の全域、浦島丘、白幡仲町、白幡東町、白幡向町、西大口、白楽の各一部 赤門町2丁目、霞ケ丘、境之谷、西戸部町1丁目から3丁目まで、西前町2丁目及び3丁目、東久保町、藤棚町1丁目及び2丁目、元久保町の全域、伊勢町1丁目から3丁目まで、老松町、久保町、中央一丁目、中央二丁目、浜松町の各一部 上野町1丁目から3丁目まで、柏葉、鷺山、竹之丸、立野、千代崎町1丁目及び2丁目、西竹之丸、西之谷町、本郷町1丁目から3丁目まで、本牧町1丁目及び2丁目、本牧満坂、麦田町2丁目から4丁目まで、大和町1丁目及び2丁目、山元町1丁目から3丁目までの全域、大芝台、大平町、北方町1丁目及び2丁目、千代崎町3丁目及び4丁目、寺久保、本牧荒井、本牧緑ケ丘、簑沢、矢口台、山手町、山元町4丁目の各一部 赤門町1丁目、英町の全域、初音町1丁目から3丁目までの各一部 庚台、西中町4丁目、伏見町、三春台の全域清水ケ丘、南太田一丁目の各一部 唐沢、中村町1丁目から3丁目まで、八幡町の全域山谷、平楽の各一部 大岡一丁目、大岡三丁目、若宮町1丁目から4丁目までの全域大岡二丁目の一部 岡村三丁目、岡村四丁目、滝頭二丁目、広地町の全域磯子八丁目、岡村一丁目、岡村二丁目、岡村五丁目、岡村六丁目、滝頭一丁目、滝頭三丁目、中浜町、久木町、丸山二丁目の各一部 |
詳細 |
川崎市 | 幸町1丁目の一部、幸町2丁目の一部、幸町3丁目の一部、幸町4丁目、中幸町1丁目、中幸町2丁目、中幸町3丁目の一部、中幸町4丁目の一部、南幸町1丁目の一部、都町の一部、神明町1丁目の一部 小田1丁目の一部、小田2丁目、小田3丁目、小田4丁目、小田5丁目の一部、小田6丁目、浅田1丁目、浅田2丁目、浅田3丁目の一部 |
詳細 |
まとめ
今回は、東京や神奈川で行われている不燃化事業についてご紹介しました。
対象地域は限られているものの、対象地区の見直しが行われたり助成金額が増額されていたりと、手厚い助成金制度となっています。
一部の制度は、他の助成制度と併用可能なものもあるようです。
ご実家の解体や、お家の建て替えをご検討の方は、ご自身が対象地域かどうか一度お調べになってみてはいかがでしょうか。
最後までお読みくださいましてありがとうございました。