遺品整理とハウスクリーニングの関係をご質問いただくことはとても多いです。
中でも、遺品整理とハウスクリーニングの違いとその理由、ハウスクリーニングが必要なケースについてのご質問が8割以です。
近年は「遺品整理」や「ハウスクリーニング」以外にも「終活」などのように言葉や名称をいたずらに与えることによって、本質的な意味が抜け落ちて勝手なイメージがついてしまっている感が否めません。
本来ハウスクリーニングが必要ない方にまで施工して料金を請求したり、快適に過ごすために必要なのにもかかわらずハウスクリーニングを行わないという事例があってはなりません。
そこで今回は、遺品整理でハウスクリーニングが必要となるケースと、その理由を費用や注意点を交えながらご紹介いたします。
この記事でお伝えすること
- 遺品整理をはじめとしたお片付けは、ご自宅・ご実家の未来について考える絶好の機会となります。
- 遺品整理後に物件を活用したり、賃貸として収益化する場合、ハウスクリーニングが必要なケースが少なくありません。
- 深刻な汚れや悪臭、害虫駆除が必要なケースでは、ハウスクリーニングだけではなく、特殊清掃が必要なケースもあります。
- 賃貸を考える場合リフォームの有効性は大きく高まります(作業内容と汚れの具合により変わるため、具体的な見積もりが必要です)
ハウスクリーニングと遺品整理の違い
はじめに、ハウスクリーニングと遺品整理の違いについてまとめると、以下のようになります。
遺品整理・生前整理 | ハウスクリーニング | 特殊清掃 | |
---|---|---|---|
業務内容 | お片付けと簡易清掃 | 清掃 | 清掃 |
必要なケース | ご自宅・ご実家の整理 | 日常生活で溜まった汚れの清掃 | 特殊な事情を抱える方の清掃 |
利用する方 | 必要に応じて | 一般に浸透しており利用者は多い | 特殊性から利用される方は少ない |
相場・費用感 | 間取りや搬出経路によって数万〜数十万 | 数千円〜数万円前後 | 汚れの状況によって数万円〜数十万 |
必要な期間 | 1日〜数日 | 数時間 | 数日〜数週間 消臭が必要なケースでは数か月 |
以下、くわしく見ていきます。
遺品整理とは
遺品整理とはご家族やご親族がお亡くなりになった際、その方が使っていた家財などを整理することです。
ここでの「ご遺品」とは遺産や貴重品といった財産価値があるものだけではなく、生活用品や家財道具など身の回りのものすべてを指します。
さらにくわしくご覧になりたい方は「遺品整理とは」をご覧ください。
たとえば、ご自宅やご実家を整理して、新たな生活拠点として利用したり、賃貸に出すなどの目的でご自宅を整理するような作業を遺品整理とよびます。
また、この遺品整理作業を生前に当事者が終活の一環として行うことを生前整理と呼びます。
ハウスクリーニングとは
ハウスクリーニングとは、清掃についての専門知識を持つ人間が、特殊な洗剤や機材・機器を利用して掃除を行うことです。
たとえば、エアコンの清掃やフローリングの清掃、キッチンのレンジフードや浴室・トイレの清掃など、日常生活で蓄積した汚れをキレイにするためのサービスがハウスクリーニングです。
ハウスクリーニングと特殊清掃のちがい
ハウスクリーニングが一般的な生活を行なっている場合の清掃を行うのに対し、特殊清掃は日常生活レベルを超えた汚れに対して清掃を行うケースを指します。
たとえば、血液や体液の除去やセルフネグレクトなどの事情で長年ゴミ屋敷となったケースに対してはハウスクリーニングレベルの清掃では効果を発揮することができず、専用の溶剤やオゾンによる消臭などの特殊な清掃が必要です。
体液や血痕、悪臭や害虫が発生している状況では特殊清掃を避けるのは難しいと言わざるを得ません。
遺品整理でハウスクリーニングが「オプション」作業な理由
ここまで遺品整理とハウスクリーニングの違いについてご紹介しました。
遺品整理がお部屋を空、あるいはお客様の望んだ状態にするため、お部屋のお片付けと簡易的な清掃(掃除機がけやホコリ取りなど)を行うのに対して、ハウスクリーニングは日常生活の汚れを落とすためのサービスです。
遺品整理でハウスクリーニングがオプション作業となっている理由は、お客様の目的によって必要性が異なるからです。
言い換えれば、必ずしも遺品整理にハウスクリーニングが必要ではないということになります。
遺品整理におけるハウスクリーニングの位置付け
遺品整理におけるハウスクリーニングは、簡易清掃以上にキレイな状況とする場合に必要です。
たとえば、遺品整理後にリフォームや解体を行うケースでは、ハウスクリーニングは必要ない場合が多いでしょう。そもそも、ハウスクリーニングが必要なほど汚れていないお部屋であるケースもあります。
すべてはあなたの今後の目的次第で、必要性は大きく変わります。
したがって、次のようなニーズがあなたにある場合、私たちはハウスクリーニングをオススメしています。
- 賃貸なので部屋を明け渡さなければならないが、大家さんへ見せる前に原状復帰をなんとかしたい。
- 家族だけで遺品整理やハウスクリーニングするなんてとても無理な状況になっている。
- 生前お使いだった部屋を別の用途に利用したいと考えている。
- 新たに新生活を始めるにあたって、リフォームするほどではないがキレイにしておきたい。
遺品整理業者がハウスクリーニングを経験しているかしっかりと確認し、注意を。
遺品整理業者がハウスクリーニングを行う場合には、作業前から計画を立て、ハウスクリーニングを前提とした作業計画などを行うのが一般的です。
そのため、見積もり時に必ずハウスクリーニングの対応を行っていただけるかどうか確認しておきましょう。
遺品整理作業にプラスしてハウスクリーニングを行うため、金額が上昇する要因となります。
作業後に請求額が変わってしまうといったリスクを避けるため、見積もり時にしっかりとハウスクリーニングの料金まで算出してもらうと良いでしょう。
相見積もりを行うのもリスク回避には有効です。
ハウスクリーニングが必要な場合
あなたが遺品整理の簡易作業以上にキレイな状況としたい時にはハウスクリーニングは有効な選択肢のひとつです。
自分たちで行う労力を削減できるだけでなく、プロによる清掃で見違えるような環境にできるかもしれません。
家族が引き続き住む、あるいは賃貸にするケースのハウスクリーニング
ご家族が亡くなった親族にかわって引き続き物件を活用したり、賃貸として収益化する場合には、ハウスクリーニングは必須と言えるかもしれません。
キッチン、トイレ、風呂場といった水回りは必須ですし、備え付けのエアコンやベランダ・バルコニーの作業や、場合によっては門扉や外壁などのクリーニングを承っています。
ハウスクリーニングは遺品整理作業が完了した後、長年の日常生活による汚れを落とします。これまでの生活感を感じなくなるくらいような作業を行います。
一般のお客様以外にも、不動産オーナーの方から残地物撤去後のハウスクリーニングをご依頼いただくこともございます。
長期間空き家になっているケースや、快適な物件として収益化するためには、リフォームも。
家財全般を運び出すなど遺品整理を終えると空っぽになった家は、長年の使用により汚れた壁紙やフローリング、畳などが目につきます。
これら経年変化や積年の汚れを取り去るだけでも、見違えるような状況になることでしょう。
ただし、汚れがひどい場合や、床などに腐敗が見られる等のケース、長期間空き家になっていて手入れを行ってないケースでは、リフォームも選択肢のひとつです。
快適な住環境を実現したい場合にはリフォームは必須と考えていらっしゃる方も多い印象です。
たとえば、古いお住まいであっても、キッチンやお風呂などを新しいものにするだけで現代的な住環境を実現することができるでしょう。
リフォームは内側だけにとどまらず、外に目を向ければ、ベランダの腐食や外壁の塗装など多くの部分で必要となるケースもあります。
物件の収益化のためのリフォーム
あなたが、遺品整理の後、賃貸利用を考えているケースではリフォームの有効性はより高まります。
近年では、昭和レトロや平成文化といった回帰的な流行が存在し、築年数が経過していても借り手が見つかる場合もあることでしょう。
しかしながら、毎日使う水回りなどはシステムキッチンとするなど、利便性を高めることで借り手が見つかる可能性は格段に高まることでしょう。
リフォームを行って築年数が浅い物件よりも、安価に住むことができるため比較的人気であり、相続したお家を収益化することによって税負担を軽減できるだけではなく、収入を得られる可能性もあります。
物件の使い方によって必要性は異なるものの、目的に合わせてリフォームもご検討になると良いかもしれません。
ゴミ屋敷やモノ屋敷のケース
ゴミ屋敷やモノ屋敷となっているケースでもハウスクリーニングが必要となる場合が多いでしょう。
単にモノが多い状況であれば、お片付けの後に、徹底したハウスクリーニングを行うことで回復できる可能性は高いと考えられます。
しかしながら、部屋全体が汚れていて、足の踏み場もないほど床が埋まっており、害虫駆除や悪臭が発生しているケースではハウスクリーニングによる回復は望めません。
通常の清掃ではキレイにすることができず、専門の機材や薬品・溶剤を利用して片付けが必要となるからです。
ゴミが山積みとなっていたり、悪臭や外注が発生しているようなケースでは、ハウスクリーニングではなく特殊清掃を行う必要があります。
孤独死・孤立死を迎えられたケース
孤立死や孤独死を迎えられたケースでは、特殊清掃が必須となります。
物理的な汚れの除去だけではなく、オゾン消臭など特殊な薬剤や機器を利用して雑菌やニオイの元を絶つ作業を行います。
状況よって必要な期間や価格は異なりますが、発見までの期間や夏場などの季節によっては完了まで数か月、リフォームが必須となるケースもあります。
信頼できる特殊清掃業者を選び出し、遺品整理とともに依頼することをオススメいたします。
遺品整理におけるハウスクリーニングの施工内容
これまで見てきたように、ケースによって作業内容は異なるものの、遺品整理におけるハウスクリーニングは以下のような箇所を中心に行います。
賃貸の場合には原状普及作業を不動産業者が行うケースもあるため、契約内容にも注意しておきましょう。
- キッチン
シンクだけではなくレンジフード周りや冷蔵庫が置かれていた壁面なども - トイレ
黒ずみや結石の汚れを分解洗浄。 - お風呂・洗面台
カビやピンク汚れなどを専門の薬剤で徹底洗浄、ウロコ汚れなどもキレイに。風呂釜の洗浄なども。 - エアコン
ホコリやゴミ・カビによる悪臭を洗浄液を利用して、事故や火災リスクのない作業を実施します。 - フローリング
床に用いられている材質によって溶剤が異なります。ワックスを行うこともあります。 - 壁紙・クロス・畳
清掃や張り替えをご案内することもあります。 - バルコニーやベランダ
雨による汚れや鳥によるフンなどもキレイにします。 - 窓・サッシ
掃除が難しい窓やサッシの汚れをキレイに。
経験豊富なスタッフにより、見た目だけではなく、清潔を保つための配慮を欠かさないように作業を行います。
そのほか、遺品整理でのハウスクリーニングの際に、汚れた布団や家具の回収や、家電・家具のリサイクルやリユースを目的とした買取を行っています。
ハウスクリーニングの相場や価格帯
最後に、ハウスクリーニングの相場や価格帯についてご紹介します。
業者によって開きがあるものの、以下のような価格が一般的ではないでしょうか。
間取り | 相場 ハウスクリーニングだけの総額 |
---|---|
1部屋 1K・1DK | 3.0万円前後 |
2部屋 2K・2DK・2LDK | 4.5万円前後 |
3部屋 3K・3DK・3LDK | 6.0万円前後 |
4部屋 4K・4DK・4LDK | 7.5万円前後 |
5部屋以上 | 9.0万円以上 |
作業の順に見ていくと以下のようになります。
清掃箇所 | 目安費用 |
---|---|
エアコン分解洗浄 | 12,000円〜 |
キッチン シンク・ガステーブル・コンロ・グリル | 13,000円〜 |
フード・換気扇 | 9,000円~ |
トイレ内外の洗浄 | 10,000円〜 |
お風呂・浴室 | 14,000円~ |
洗面所 | 3,000円〜 |
エアコン洗浄 | 8,000円~ ※お掃除機能無し |
フローリング洗浄(+ワックスがけ) | 1部屋/9,000円~(+1,000円〜) |
壁紙・クロス洗浄 | 1平米あたり500円〜 |
窓・サッシ | 1平米あたり1,000円〜 |
以上は、あくまでも目安費用であることにご注意ください。
料金は、作業時の汚れの具合によって使用する機材や方法などを総合的に判断して算出されることに注意してください。
まとめ
今回は、遺品整理でハウスクリーニングが必要な場合とその理由についてご紹介してきました。
注意すべきは「ハウスクリーニング」を行う目的です。
あなたの目的によってハウスクリーニングの必要性は左右されます。
あなたが抱えている課題は、ハウスクリーニングを行うよりもリフォームによって解決できるケースもあるかもしれません。
ハウスクリーニングを行うだけでは望んだ結果を得られないといったケースもあるからです。
私たち横浜ベスト遺品整理社はお片付け作業にハウスクリーニング作業が必要かどうかをお客様のご要望に沿って打ち合わせを行った上でご案内しております。
お困りの方はお気軽にご相談ください。
この記事がお片付けのシーンでハウスクリーニングを行うかどうかお悩みの方への一助なれば幸いです。
最後までお読みくださいましてありがとうございました。