遺品整理にはトラブルがついて回ります。
遺品整理の業者にまつわるトラブルを除けば、残るものとして多いのが、家族とのトラブルです。
とくに親族関係者が多かったり、ご両親と疎遠だったり、ご兄弟の仲が良好でないといった場合で、家族トラブルになってしまったというケースは少なくありません。
今回は、家族トラブルを避けて上手に遺品整理を行うために重要な3つの視点を業者である私たちからご紹介いたします。
できるだけ客観的に事実を見る。
結論として、あなたの好き嫌いや利害など、感情的な部分を離れて事実や状況を客観的に見て判断し、リスクを回避することが大切だといえるでしょう。
目の前に起きていることにただ反応しているだけでは、解決は難しいからです。
これだけでは正論をぶつけるだけになってしまいますので、もう少し細かくご紹介したいと思います。
私たちの考えでは遺品整理の家族トラブルは以下の4つに分けられます。
- 忙しさに見舞われての単純ミスや知識不足による説明不足
- 人間の意志によるもの
- 家族の環境によるもの
- 不適切な業者や手段の利用
これら4つのポイントを直接の原因をなくすためにマネジメントできれば、遺品整理はとても上手に行えるでしょう。
多くの場合、トラブルの原因はこれら4つのポイントへの対策が十分に取られていなかったケースで起きているように思います。
忙しい毎日を過ごしていての単純ミスや説明不足
仕事や家事などで忙しく過ごしているなか、遺品整理などの片付け作業について見積もりを取ったり、業者からの連絡が来たり、親族・家族の対応をしていると、ふと単純なミスや説明不足で誤解を招いてしまうことがあるかもしれません。
人間はミスをするものだと割り切って、メモ(ボイスメモも便利です)に残したり、何か家族への連絡が発生した段階でLINEやSMSで連絡すると良いかもしれません。自分がボールを持ったまま時間が過ぎてしまうと、それをきっかけにトラブルとなってしまうからです。
忙しい毎日を過ごしていて単純なミスをしてしまったり、よく状況が確認できないまま曖昧な返事をしてしまっていたり、説明不足だったりといったことをなくすことはできません。
しかしご自身でトラブルを避ける努力で、家族トラブルを避けられることでしょう。
人間の意志によるもの
人間の意志によるものと書きましたが、これは言ってはいけないことを言ってしまうことや悪意を持った発言などの言語道断なものから、良い家族関係を構築していても、ふと口にしたことで喧嘩になってしまうようなものまでさまざまです。
たとえば、遺品を残すかどうかを判断している際に、故人が生前、趣味で集めておられた鉄道模型を「こんなもの」と表現したことで、残された子供とその配偶者が大喧嘩になってしまったケースを目にしました。
自分の親が大好きで大切に残してきたものを、奥様にこんなものと言われて怒ってしまったそうです。気持ちはとてもよくわかります。
こうしたことは、表現ひとつではあるものの、これまでのご経験を総動員して回避していただきたいと思います。
家族の環境によるもの
家族環境に起因する問題は複雑です。
あなたが生まれた時にはすでにあった状況や、数十年という月日から形作られてきた環境もあることでしょう。
これらを改善したり、リスクに対応するのは非常に難しい場合もあります。
場合によっては、士業などの専門家としっかりと話してみる必要があるかもしれません。
そのため、根本的な解決ができるのは、家族がコントロールして改善できる問題や状況だけと考えてみるのもひとつの方法です。
自分や家族では改善できない問題や環境について「自分自身でコントロールできるものだ」と勘違いしてしまってはとても不幸だからです。
必要以上に深く考えすぎないことも大切です。
不適切な手段や業者の利用
本来はしっかりと時間をとって説明したり話し合っておかなければならなかったことを、決定せずに進めてしまうことは、家族トラブルとなる大きな原因のひとつです。
また、ご自身で整理を行わず、遺品整理を業者に依頼するケースでは業者へ任せっきりにしないように注意が必要です。
業者へと任せっきりになってしまうことで、想定外のものが捨てられたり、予期していた結果とならず、結果的に家族トラブルへと直結します。
少なくとも悪徳業者を避け、あなたの望み通りの作業を行うためには、3社の相見積もりを取り、担当者としっかりと話をして吟味することが重要です。
では、具体的にどうすべきか
ここまで、4つのトラブル原因について見てきました。
遺品整理で揉めないために重要なのは、遺品整理を行う理由を明確にすることです。これは、状況を客観視することにつながるからです。
具体的には、まず、あなたが遺品整理を行うことで解決したい内容を書き出してみてください。形式はどのようなものでも構いません。
- 実家の退去期限が迫っている
- 実家をリフォームしたい
- 老人ホームに入る両親のために、実家を売却したい
このとき、「家族全員の納得ずくで物事を進めたい!」というような目標を作ってみると良いでしょう。このことが、作業の中心をしっかりとマネジメントすることにつながります。
次に、書き出してた目的・理由を見て、その先に何が待っているのか、トラブルになりそうな要素を見つけて見ましょう。
どんなことでトラブルになりそうなのかを予測し、考える。
あなたの遺品整理の目的や理想形が明らかになってきていると思います。
家族でトラブルや言い争いになってしまいそうなことはなんでしょうか? 想像してみてください。
- 実家の退去期限が迫っているので説明不足になりそう
→退去に際して発生するお金は誰が立て替えたり負担するのかを話し合う - 実家に住むならしっかりリフォームしたいと考えている
→費用はどうやって捻出するのか、リフォームするとしたら、それを嫌がる家族はいないでしょうか。 - 老人ホームに入る両親のために費用の捻出が必要。実家を売却したい。
→売却するにあたって、書類の準備や、お金について障害となることを見直してみることが大切です。 - 業者選びを任せっきりにしてしまった
→家族でよく話し合うことなく、業者選びや作業開始日時を決めてしまったために、形見分けができなくなることのないようにしましょう。
これらは、ほんの一例ですが、ご家族とのトラブルに繋がりそうな内容を考えてみてください。
客観視することで、家族間で反りが合わない、家について思い入れが強すぎる、などのように家族のトラブルとなり得る本質的なトラブル原因を見逃さないようにしましょう。
もしも仮に、本質的なトラブル原因にたどり着けなかった場合には、実家の整理や遺品整理のあり方を見直してみることをオススメします。
遺品整理でもめないための計画の立て方
最後は、これらのことを踏まえて、実際に遺品整理で揉めないための計画を立てることにあります。
本質的な家族のトラブル原因を克服したり解決したり、あるいは回避するために、どのような計画を立てて、どのような物言いをすれば良いのでしょうか。
考えられるすべてのトラブルに対して、どのように対処するかを考えましょう。
- 退去に際して発生するお金は誰が立て替えたり負担するのか
→事前に情報を調べて協議し、どのように捻出するのか結論を出して作業に臨む - 費用はどうやって捻出するのか、階段やトイレに手すりをつけるとしたら、それを嫌がる家族はいないでしょうか
→費用を具体的に見積もり、リフォームのメリットを検討し実家で長く暮らせることになる方向性を検討。 - 売却するにあたって、書類の準備や、お金について障害となることを見直してみましょう。
→実家を売却することによって、余計な出費を提言し、今ある生活をより良くするための意見を家族から聞く。 - 業者選びの段階から家族と一緒に行いましょう
→家族の意思を計画に反映させ、遺品整理作業当日までにしっかりと書類や貴重品、思い出の品を見つけられるように。
なお、実際の遺品整理の手順については、以下の記事にてくわしくご紹介しています。
まとめ
いずれはなんとかしなくてはいけない遺品整理ですが、今回ご紹介したように、事前にリスクを想定することで無用なトラブルは解決できます。
私たち遺品整理社にご依頼いただくお客様には、同じ傾向はあっても、ふたつと同じ環境の遺品整理はありません。
それぞれのご家族の状況や目的に応じて私たちが最適だと考える作業をご提案し、これまでの知見を生かしたアドバイスをご案内しています。
この記事が家族トラブルを恐れて作業に臨めないとお考えの方への一助となれば幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。