遺品整理や生前整理の本質は、お部屋のお片付け作業です。
とりわけ遺品整理においては、ご家族にとってのお部屋のお片付け以上の意味を持つこともあります。
あるお客様は「別れのご挨拶」と表現されていたのが印象的でした。
さらに終活に取り組まれている方にとっては「お別れの準備」と捉えている方もいらっしゃいました。
人それぞれ千差万別の捉え方はあるものの、総じてお部屋のお片付けはとても大きな負担を強いるものになりがちです。
とくに、親元を離れて暮らすことの多い昨今では、故人様が残された遺品を整理することはまとまった時間や手間が必要となり精神的、身体的に大きな負担を伴うことでしょう。
しかしながら、以上のようにお部屋のお片付けという側面だけではなく、本質的なお片付け作業にとってはもっと大きな課題が残っています。
そう、お悩みの方の多い「相続」です。
今回は、遺品整理を行う前に知っておきたい相続についての簡単な内容と、関連する記事をまとめてご紹介いたします。
相続とは
ひとこと「相続」とお伝えしたとしてもその内容は多岐にわたります。
そもそも、相続とは「遺された財産を後継者に引き継ぐこと」あるいはその周辺の実際の作業のことを指します。
そして単純に相続と表現した場合「財産」も「債務」もまとめて引き継ぐことが通例となっています。
たとえば、不動産である土地や家、車などに始まり、貴金属や家具など、残された動産物すべてに焦点が当てられます。
ご自宅に残されているものの、ほぼすべてが「財産」として扱われるので、相続財産を相続人が受け取れます。
相続はプラスの側面ばかりではない。
すでにご存知の方も多いように、相続はプラスの資産だけではなくマイナスの資産も受け取ることになる場合があります。
すなわち、不動産などの価値あるものばかりではなく、ローンや借金などの負債も相続の対象となるということです。
そのため、自分が責任を持って受け取れるかどうかを慎重に判断しないと、予期せず大きな問題を抱えることになります。
判断する上で重要になる基礎的な知識として、相続の種類について整理してご紹介いたします。
相続の種類
相続には下図のように3つの種類が存在します。
単純承認とは、財産と債務のバランスを見ることなくすべて受け入れることです。
原則的として「限定承認」か「相続放棄」を3か月以内に選択して手続きを行わなければ、単純承認を行ったとみなされます。
限定承認は、債務を財産の支払える分で支払い、債務整理を行った後に残った財産を相続することです。
相続放棄は、相続は任意で「相続をしない」選択もできます。相続放棄は債務の割合が圧倒的に多かった場合の救済措置とも言えます。
ドラマや小説などで相続問題などが取り上げられますが、実は「事実は小説よりも奇なり」という表現の通り、私たちも解決まで非常に時間のかかるケースを見聞きすることは日常茶飯事です。
解決が困難で家族関係、親族関係に大きな禍根を残す前に、身の回りにある物から整理してしっかりと準備しておくことで、その先に笑顔でバトンが渡せることでしょう。
遺品整理は“必ず”相続を行なった後にすべきなのか
インターネット上の記事ではしばしば「相続を行う前に遺品整理をしてしまうと、単純承認とみなされ相続放棄できなくなる」という表記を目にします。
確かに、相続手続きが完了する前に遺品整理を着手することで相続放棄ができなくなる場合もあります。ですから、相続放棄が確定する前に遺品整理を行う場合には注意しなくてはなりません。
しかしながら、相続前に遺品整理を行なっても問題ない場合があります。
司法書士さんや弁護士さんでも誤解しがちな相続についての内容は当社記事「相続前の遺品整理:遺品整理をしても相続したことにはならない。」にて根拠や判例も交えてくわしく解説しておりますので、ぜひご一読ください。
煩雑な相続手続きを円滑に進めるために
相続などの関連業務は一般的に「死後事務」と呼ばれたりします。
家族が逝去されたのちの1年間にやらなければならない手続きは期限付きのものを含めて相当数存在します。
たとえば、1年以内に行なっておくべき手続きに、以下のようなものが該当します(網羅しているわけではありませんのでご注意ください)
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相続財産の調査
相続財産の評価・相続財産の確定 -
遺言書の確認
公正証書遺言などの検認 -
遺産分割協議
遺産分割協議所の作成(寄与分・特別受益分) -
相続放棄や限定承認
相続放棄・限定承認など民法に定められた手続きや請求 -
相続税の申告
準確定申告 -
不動産の相続登記
所有権移転登記申請・登記事項証明書 -
遺留分侵害額請求
法定相続人(配偶者や実子)が遺言の内容にかかわらず最低限の遺産を受け取ることのできる権利の請求 -
銀行口座の名義変更など
銀行口座の相続手続きや凍結解除について くわしくは「名義人が亡くなった時に必要な各銀行への相続手続き情報一覧」にて解説しております。 -
公共料金などサービスの解約
公共料金・クレジットカード・携帯電話等の解約手続き
くわしくは「ご家族やご親族の死亡届提出後に必要な手続き一覧」にてご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
なお、以上の相続関連手続きについて、私たち横浜ベスト遺品整理社にご依頼いただくことも可能です。
相続でとくにお悩みの方の多い「不動産」
今回遺品整理と相続の記事をご紹介する直接のきっかけとなったのは、私たちに御用命いただくご依頼主の方の多くが、相続に関連したお悩みをお持ちであり、とりわけ「不動産」についてお悩みを抱えていらっしゃる方が多かったからです。
親元を離れて生活している場合、すでに家などを持っているため、実家を相続するかどうかで迷われる方は多い印象です。
離れた実家を相続することになった場合、相続後の実家を維持管理するには大きなコストが必要なケースもあり、慎重に検討を迫られることになります。
場合によっては、不動産や土地など「現物」で残された財産を換金し、相続人で分割する「換価分割」といった方法を取られる方もいらっしゃいます。
こうした不動産に関わるご相談について、私たちは提携する士業の方と連携してお客様の課題解決に当たっています。
不動産に関連する内容については、以下の記事もご覧ください。
相続は専門家との協力によって円滑に解決したい
相続については専門家との協力によって円滑な解決を行うべきです。
私たちは遺品整理や生前整理といったお片付けを本業として皆様に20年以上サービス提供を行って参りました。
こうした中で、お客様のご要望にお応えすべく信頼できる複数の専門家の方と提携して課題の解決に当たっています。たとえば、司法書士さん、行政書士さん、弁護士さん、税理士さん、社会保険労務士さんといった方々から、あなたに最適な士業の先生をご紹介できます。各種手続きに関する書類作成や提出の代行、相談や申告についてご相談いただくことが可能です。
近年、専門家(士業)のサービスも時代の変化に伴い、提供するサービス内容や品質も、以前と比較すると大きな変化が起きているように感じます。
知識も経験も少ない私たちが専門家に依頼する場合には、信頼できるかどうかが大きなポイントとなることでしょう。
そのため、あなたにあった士業の方、なんでも気兼ねなく相談できる専門家に依頼するのが良いでしょう。
まとめ
今回は、遺品整理や生前整理と相続の関係について簡単にまとめてご紹介いたしました。
相続には単純承認や限定承認、相続放棄など種類があること、そして相続についてお悩みの方が多い不動産などについてご紹介しました。
最終的には、あなたが本当に信頼できる専門家の方と協力して円滑に相続関連の事柄を解決していきましょう。
長い道のりに感じられる方も多いかもしれませんが、早期に相談を行い、確かな知見・経験を持つ専門家と協力することによって、円滑に相続関連の事務手続きなどを完了させることができることでしょう。
そして、何よりも大切なのは心のある相続を行うことです。
事務手続きなどが煩雑だったり、期限のあるさまざまな事柄に追われ、自分の生家を建ててくれた家族や育ててくれた両親への気持ちを忘れてしまいがちです。
しかしながら、相続やお片付けはご両親やご家族の思いを次の世代につなげていく大切な作業です。
そのため、次の世代につなげていく大切な作業であることを理解した専門家の協力を得て、円滑に進めていただくことを強くオススメいたします。
この記事をお読みあなたの課題解決に役立てば幸いです。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。