今回は、遺品整理や終活を行う上で、極めて重要になる年賀状の保管と整理の方法についてお伝えします。
年々発行枚数が減少する年賀状
年々発行枚数が減少する年賀状。終活年賀状が賛否を含め話題になっています。
日本郵便によると、年賀状の発行枚数は、2003年の44億5936万枚をピークに2018年は24億0021万枚と半数近くに減少しているとのことです。
2003年といえば、貴乃花が引退、朝青龍が横綱に昇進し、イラク戦争の開戦、六本木ヒルズがオープンした年です。SMAPの「世界に一つだけの花」が257万枚売れた年と言えばわかりやすいでしょうか。
年々手にすることが少なくなる年賀状ですが、遺品整理や就活では、年賀状の存在がとても重要です。
遺品整理や終活と年賀状の意外な関係
では、なぜ遺品整理や終活で年賀状が重要となってくるのでしょうか。
既にお気付きの方も多いかと思いますが、年賀状は遺品整理や終活での重要な「情報源」だからです。
大変失礼なお話であることは承知の上でお伝えするのですが、年賀状は、故人様や、これから終活を行われる方にとって、周辺の方との関係性を知る上で、とても重要な手段です。
例えば、老人ホームなどの施設入所に伴う生前整理を例にとってみましょう。
老人ホーム入所に伴い、賃貸だった実家を解約する時や、実家を空ける時間が長くなるとき、せっかくのお中元、お歳暮やご挨拶を意図せずにそのまま放置してしまう事態を避けるため、連絡をとっているご友人や知人に連絡をする、というケース。
両親の交友関係を細かくご存知の方というのは、意外に少ないものです。
こうした時、ご両親の友人からの連絡先を実家から、あなたの携帯電話に変更するためのお願いを、年賀状を情報源にお電話やお手紙として出したり、仮にご葬儀などの場合のご連絡にも、「名古屋の〇〇さんって、会ったことは無いけど、よくお母さんが話に出してくれた人だな。連絡しておいた方がいいかな」というように、年賀状を情報源としてご案内をすることができるのです。
ご両親が生きた時代の通信手段を把握することの重要性
当たり前の話ですが、子供であるあなたと、ご両親が生きた時代は大きく異なります。
iPhoneが日本で初めて発売されたのは2008年。10年前のことですが、ご両親の生きた時代は、スマホなんてもちろんありませんし、インターネットも一般的ではありませんでした。
ご両親が生きた時代の通信手段は、電話やFAX、手紙であったはずです。
その中でも、年始の年賀状には、現代よりも特別な意味があったということを意識すべきです。
年賀状を出すことを強要しているわけではありませんし、年賀状を出さなくなるのは、現代の通信環境を考えれば、むしろ時代の流れと言えます。
ただ、親世代で一般的だったことを子供世代で一般的でないからといって、現代と同じ感覚で扱ってしまうことのリスクを考えない方が多いことは残念なことですし、このことが問題となるケースもございます。
年賀状の整理のルール
以上の内容を踏まえて、効率的に遺品整理や終活での利用も考えた年賀状の保管方法をみてみましょう。
一般的な年賀状の保管期間は2年以上
少し古い資料ですが、CONNECTIT「年賀総研」による2015年10月の調査によると、年賀状を保管する期間は、2年以上と答えた方が74.1%、5年以上と答えた方が過半数となりました。
先にご紹介した遺品整理や終活による情報源として利用する場合のことを考えると、3年前のものは、お手元に残しておかれることをお勧めいたします。
年賀状を保管する上でのルール
年賀状を分別するため、下記のようなルールを設けると良いでしょう。
さらに、終活などでは、「小鳥遊(たかなし)さん」などのような読み方の難しい方のお名前には鉛筆などでルビ、読みがなを振っておくことを忘れないようにしましょう。
馴染みのない漢字や、昭和23年よりも前のお生まれの方は、「万葉仮名」や「変体仮名」(例えば、と書いて「すえ」と読みます。このような書き方のことです)でお名前を書かれる方もいらっしゃいますので、注意しておきましょう。
- 過去3年の年賀状であること
- 喪中はがきであること
- 結婚、出産の報告、子供の成長、家族の写真付きであるもの
ご両親とご親戚やご友人の関係などを把握するために過去3年の間の情報はとても有効です。そのため、保管すべきは過去3年に限定してしまっても良いでしょう。
ただし、喪中はがきや結婚、出産の報告、子供の成長、家族の写真付きであるものは、3年以上のものでも残しておいても良いかもしれません。
ご両親と周辺の方との関係で、既にお亡くなりになった方にご連絡することを避けるためや、結婚や出産、子供の成長に関することは、何らかの機会に、該当の方と顔を合わせた場合に、さりげなく話題と出来るだけではなく、スマートなご挨拶が可能となります。
さらに、家族付きの写真であるものは、あなたが実際に会ったことがあるかどうかを判断する上でも役立ちます。
年賀状の保管方法
輪ゴムで留めただけというのは少し保管方法としては味気ないですし、整理された状態ではありませんので、後々探すために時間を取られてしまいます。
そのため、年賀状の保管方法については、大きく2つの方法をお勧めしています。
保管場所は、押し入れやクローゼットのデッドスペースを利用すると良いでしょう。
- ガムテープ(布製)を利用して簡易製本する
- ジップロックを利用する
ガムテープ(布製)を利用して簡易製本する
この方法は、とてもお勧めです。
ハガキサイズの厚紙二枚を表紙にして、年賀状をガムテープで辞書のように製本してしまう方法です。
製本方法については、インターネット上でも多くの情報を探すことができます。
以下のブログを参考にされると良いかと思います。
年賀状の整理方法。5分でできるガムテープ製本でスッキリ収納保存!
年賀状の整理・収納のアイデアは?もらった年賀状は処分する?
この簡易製本を利用する際のポイントは、ご自身が管理しやすいように、ご両親との関係がわかるように、親族や親しい人から順にしたり、都道府県別や、名前の順番で綴じておかれることをお勧めします。
ジップロックを利用する
製本に対して、手軽に分別保管できる方法が、ジップロック社のフリーザーバッグ(Sサイズ)を利用する方法です。Sサイズには年賀状が30枚程度入ります。
分別は、年代ごとに3年分を3つに小分けして入れるのも一つの方法ですし、管理しやすいように、親族や親しい知人…などのように分ける方法をお勧めしております。
年賀状の処分方法
年賀状の処分については、以下のような方法が良いでしょう。
分別方法はお住いの自治体の方法に従ってください。
遺品整理や生前整理をご検討の方は、横浜ベスト遺品整理社にご相談いただければ、このような年賀状につきましても、お客様のご状況に合わせたアドバイスと手法をご提案しております。
- 宛名を黒のマジックで消して捨てる
- 家庭用シュレッダーで裁断する
宛名を黒のマジックで消して捨てる
個人情報の漏洩が心配な昨今では、マジックで宛名に墨を入れて捨てることをお勧めいたします。
三菱鉛筆「ポスカ 極太角芯 黒」やゼブラ「マッキー極太」などのような17ミリの幅を持つ超極太のマジックが消しやすく良いでしょう。
家庭用シュレッダーで裁断する
家庭用のシュレッダーは、お近くのホームセンターで手動のものから、電動のものまで幅広く取り扱っています。価格も手動であれば、2,000円前後と比較的手頃です。
年賀状を処分するにあたってデジタル化しておきたい場合
年賀状を処分するにあたって、デジタル化した上で処分されたいという場合には、マイクロソフト社の「Office Lens」や、高機能な「ガシャポ」、Evernoteなどのツールを利用すると良いでしょう。
こうしたアプリは、縮尺補正が付いていることがほとんどですので、歪みのない画像として保存できるだけでなく、一部のアプリはPDFの作成も可能です。
もちろん、写真として保管しておくだけであれば、スマートフォン等のカメラで撮影しておくのも良いでしょう。
年賀状整理はこれで決まり! Android版アプリ「Office Lens」で裏表面を1本のPDFに(著者注:iPhoneでも利用できます)
かさばる年賀状を画像保存するアプリ『カシャポ』住所録付きでスッキリ整理
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、遺品整理や終活には年賀状が重要な情報源であり、その管理を徹底することによって、助けになる場合が多いことをご紹介しました。
年賀状の処置にお困りの方の参考になれば幸いです。