私たちは、次の世代に繋ぐ遺品整理を行うことを意識して日々の仕事に取り組んでいます。
次の世代に繋ぐ、というニュアンスからは、昨今色々なところで目にするSDGsという言葉を想像される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし私たちの「次世代へ繋ぐ」という意味は、こうした持続可能な開発といった抽象的な内容ではなく、もっと本質的です。
「もったいない」の言葉の裏側にあるもの
日本から世界共通語になったとされている「もったいない」という言葉。
ノーベル平和賞を受賞したケニアの環境保護活動家ワンガリ・マータイさんによって、世界共通語として広められたとされ、日本の文化や言葉の意味に多くの人が感銘を受けたと聞きます。
確かに、このような感覚は私もよく理解できます。すべてのものに神が宿るという八百万の神への畏敬の念や、アニミズムは日本文化の根底に流れているものかもしれません。
ただ、実際に現場で遺品整理にあたる私たちが目にする時の「もったいない」という言葉には、言葉以上の重みがあります。
なぜなら、「結婚の時に持ってきた」「息子が生まれた夜に買った」といったように、必ずストーリーとセットで語られるからです。
喧嘩しがちだったが、笑い合ったりした家族のひとときはものを通して、流れてきた時間を一気に飛び越えて、その当時をありありと蘇らせます。
この気持ちを理解することこそ、遺品整理で最も大切なことだと私たちは考えています。
遺品整理の舞台裏
「もったいない」の言葉の先にあるものを体感する出来事の例としてSさんの遺品整理のお話を取り上げてみたいと思います。
横浜市で生まれ、生涯を通じて穏やかな人生を送られた70代の女性Sさんの遺品整理を担当させていただくことができました。
ご本人とご家族の強い希望により、私たちの手で次世代へ繋ぐ、エコフレンドリーな遺品整理を実現することができました。
どんなものでもしっかりと次の世代へ。
Sさんのご家族は、Sさんのお洋服や日用品に対して、とりわけ大切に次の方に使って欲しいと言われました。
そこで、これらの品々の多くは、地域のリサイクルショップやオンラインオークションなどを通じて新たな所有者を見つけられました。
残念ながら引き取り手が見つからなかった洋服についても残らずリサイクルを行うように手配しました。
このように物品を再利用したいとお考えの方は少なくありません。
ブランド品でなくとも再販する価値がある品物を多くなってきています。
もちろん、お金の部分だけではなく、リサイクルしようとする目線を持っていらっしゃる方はとても多いのです。
Sさんの趣味や興味を反映するような品々は、多くが、友人や家族によって引き継がれ新しい場所で活用されています。
Sさんの生きた証として今後も活躍することでしょう。また、生活用品の中には高価なものも存在し、ご家族に還元することもできました。
近年、お困りの方がとても多い、Sさんのスマートフォンやアカウントの情報は驚くことに半分以上がノートに書かれて残っていました。
目に見えない「データ」の整理もしっかりと。
すべてではありませんでしたが、連絡ができるメールアカウントも残されていたため、解約の手続きをスムーズに進められたと、後日、現場の最終確認の際に、息子さんが教えてくださいました。
残された方が右往左往してしまう遺品整理で、少しでも困らないようにという配慮が感じられ、Sさんはとても意識の高い方だったことがわかり、感動しました。
また賞味期限内で未開封の調味料やお菓子などは、破損などがないかどうか、また保管が適切だったかどうか、細心の注意を払って検証した上で、地域団体や慈善団体へ寄付としてお届けしました。
エコフレンドリーな遺品整理は、適切な分別から。
さらに、お家に残された家電や家具などは海外への輸出を行い、家庭ごみ、粗大ゴミとして出していただくものは、ご家族で出していただくなど、可能な限り資源を再利用するための方法で行いました。
適切なリサイクルまたは廃棄方法を選択することは、環境への影響を最小限に抑えます。
この記事を書いている23年12月は江東区のごみ処理施設でリチウムイオン電池の火事があり、稼働が停止しました。
年末の粗大ごみ廃棄を控えるよう呼びかけが行われています。
日本国内のインフラ同様、ごみ処分状のハンドリングもいよいよ難しい状況で、ゴミ埋め立ての最終処分場の残余年数は残り20年ほどと言われています。
冒頭で触れましたが、本質的なモノへの感情と同時に、次世代の生活への影響を減らすためにもしっかりとしたSDGs的な発想、徹底した分別とゴミを減らすための工夫が望まれています。
Sさんの遺品整理は、彼女の生き方と環境への敬意を示すための重要なプロセスと考えることもできます。
すなわち、遺品整理が単なるお片付けを超えた意味を持つことを意味しているのです。
地球にやさしいエコフレンドリーな遺品整理は、故人の記憶を大切にしながら、持続可能な未来への貢献を可能にもするのです。
このような遺品整理の取り組みは、故人の遺志を尊重し、次世代に対する深い配慮を示す行為となる物だと私たちは考えています。
お客様のお部屋を預かる責任
昨今では、YouTubeなどの映像コンテンツを利用して、非常に凝った演出で人々の関心を強く惹きつけるセンセーショナルな動画により、多くの集客が行われていると聞きます。
害虫だらけの部屋や、孤独死、ゴミ屋敷の実態など。確かに怖いもの見たさでついつい閲覧してしまう方もいらっしゃることでしょう。
私たちも、動画コンテンツについては早くから検討を重ねてきました。しかし、今までもこれからも、動画での現場の状況をお伝えすることは避けるべきであると判断しています。
それは、たとえお客様の承諾があったとしても、生活環境を面白おかしくコンテンツ化することへの怒りにも似た、脱力感を伴う切ない感情からです。
もしも逆の立場だったら、自分のお客様だったら、そう思うと、居た堪れない気持ちになります。
同業他社の皆さんに対して悪意を持って指摘するわけではありませんが、個人のプライバシーは強く保護されるべきであり、守秘義務のある私たちお方づけ業者は、常にお客様やそのご家族に寄り添うのみであると考えています。
まとめ
遺品整理はポジティブな側面ばかりではありません。しかし、たとえ疎遠であったり、おひとり暮らしておられたりするなど、千差万別な生活環境の中にあっても、いつか取り組まなければならない課題として、存在していることもまた事実です。
これらの課題を解決するために、私たちにご相談いただければ、きっとSさんのようにご満足いただける整理が可能になることでしょう。
私たちは、今お読みのあなたの課題を解決するための手段を、もしかすると他の業者さんよりも多数持っているかもしれません。
ぜひ一度、ご相談ください。