遺品整理では、大量の紙(紙ごみ)を扱います。
ご実家に存在する紙の量に驚かれる方も少なくありません。
新聞や週刊誌、漫画本、専門誌、単行本、百科事典、教科書、カタログなどにはじまり、パンフレット、メモ帳、シュレッダー後の紙、お菓子などの紙箱、包装紙、レシート、紙袋など、それこそ枚挙にいとまがありません。
今回は、遺品整理やご自宅のお片付けにおける「紙」の扱いについてご紹介します。
機密書類以外は「古紙」として処分する。
いきなり結論ですが、個人情報や機密事項などが書かれた重要書類でない限り「古紙」として自治体にお出しいただくと良いでしょう。
回収日がわからないときは、集積場所などに貼られている掲示物やお住まいの自治体の資源局などにお問い合わせいただくと良いでしょう。
しかしながら、注意が必要なのは相続手続きなどに必要な書類、相続手続きなどには一切必要ないが個人情報が書かれている書類の2つです。
以下、具体的にみていきます。
遺品整理で慎重な扱いを要求される書類2種類
遺品整理では慎重に扱うべき書類がいくつかあります。
大まかに2つに分けられます。
- 相続やいわゆる死後事務に必要な書類(法律などによって残しておくべき、あるいは保管しておくべきもの)
- 個人情報が書かれた書類
状況において種類は異なるものの、この2種類の書類は自己判断せずに残しておかれることを強くオススメいたします。
これらの書類は後述するデータ化の方法では法的効力を得られないケースも考えられるため、必ず原本を保存しておくと良いでしょう。
現在、お片付け作業をおこなっておられる方で書類の扱いでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
相続や死後事務のために残しておいた方が良い書類13項目
少なくとも以下の書類を私たち遺品整理業者は捨てたりせず確実にお客様にお渡ししています。
- 預金通帳
- 印鑑類
- 有価証券
- 保険証書
- 実家の登記簿謄本・不動産登記簿
- 各種契約書類(携帯電話など)
- 株券・債権
- 登記済権利証
- 日記
- 手紙
- 年賀状・暑中見舞い
- 住所録
- 仕事の書類
お客様の状況によって異なりますが、最低限、以上のものは残しておきたいリストとして管理しておきましょう。
くわしくは「実家の片付けで大切なものや重要書類を曖昧にしない方法」をご覧ください。
個人情報が書かれている書類
個人情報が書かれている書類についても私たち遺品整理者が注意している書類です。
個人情報は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別できる情報のことです。
日本では個人情報保護法などによって定義されています。
名前・年齢・性別・住所・電話番号・E-mailアドレス・SNS上の繋がり・学校名・銀行口座・クレジットカード番号など、「だれ」であるか特定される可能性のある情報が個人情報であるのではなく、そのような情報を含む情報全体
が個人情報と扱われます。
ひと目見て個人を特定できなかったとしても、複数の情報と合わせることで個人を特定できるようなものであれば、それは個人情報にあたります。
たとえば、メールアドレスだけでは誰のメールアドレスか判別できません。しかしながら、メールアドレスの上に氏名が併記されていれば、メールアドレスの所有者と推測してメールできます。
誰でも個人情報を調べられた牧歌的な1990年代とは異なり、スマートフォンが生活に欠かせないものとなっている現在では、セキュリティーへの意識の高まりからプライバシーは、今後より重要視されていくことでしょう。
その分、数年前では想像もできなかった悪用方法が編み出されています。個人情報については十分に注意しましょう。
故人様や当事者が士業など特殊なお仕事をされていた場合
故人様が弁護士や税理士などの士業の方で、遺品の中に顧客情報や会計情報など機密情報が含まれている場合には、より一層の注意が必要です。
また、法律によって保管期間の定められた書類が含まれていることも少なくありません。
保管期間内ではないかどうかなど、他の士業の方の協力を得ながら慎重に対応しなくてはならない場合もあります。
重要な情報が書かれた紙の処分方法はシュレッダーと溶解処理
では、機密情報や個人情報など重要な情報が書かれた書類は、一体どのように処分すれば良いのでしょうか。
方法は大きく2つあります。
- 機密抹消を専門とする専門業者に委託する
- シュレッダーにかけて業者に委託する
シュレッダーで処分する
機密情報を処分する場合には、シュレッダーがもっとも手軽な方法です。
量が少なければそれほど時間も必要ではありません。自分自身の手によって裁断することで、処分できた安心感を得られます。
しかしながら、シュレッダーしたのちの書類を一般ごみで出した場合、復元できないわけではありません。
そのため、一般的には、機密文章の処理を行う専門の業者にお願いする方法が安心です。
溶解処理する
溶解処理は、段ボールにまとめておくだけで、開けることなく無開梱のまま処分をしてくれるサービスが多く、目に触れないように処分可能で漏洩のリスクを抑えられます。
溶解処理された紙はトイレットペーパーなどにリサイクルされるため環境への負荷軽減に貢献できます。
業者によっては、ホチキス留め、ステープル、クリップを使っているものもそのまま処理できるケースも多く、手間がかかりません。
溶解処理は業者の設備で処理を行うため、信頼できる業者を選定して依頼しましょう。
溶解処理については、以下のような業者があるようです。
お住まいの地域にも溶解処理を行なってくれる業者がないか探してみると良いかもしれません。
なお、私たちにご依頼いただい場合、個人情報の含まれる書類は厳重に保管し、すべて溶解処理しています。
一般の紙は古紙のリサイクルに協力したい。
ところで、SDGsが叫ばれる昨今では、環境問題への取り組みが注目を集めています。
森林保全の観点から紙の環境負荷については、さまざまな議論があります。
とくに最近は、プラスチックとの対比として扱われることも多くなってきました。
一部の言説によれば、紙製品の生産に必要なエネルギーはプラスチックよりも1割以上も多く、A4用紙を作成するのに十数リットルの水が必要などと言われています。また、これらと正反対の言説も数多く見つかります。
言説の正当性云々よりも、持続可能な世界を維持していくために環境への負荷を考える方向性は妥当だと言えます。
私たちが大げさなキャンペーンなどに参加せずともできるのが、正しいリサイクルを徹底することだと言えるでしょう。
古紙は、以下のように多くの製品に生まれ変わるリサイクル方法が確立されています。
種類 | 生まれ変わる製品 |
---|---|
新聞 | 新聞紙・週刊誌 |
雑誌やその他の紙 | ボール箱・紙箱・板紙 |
段ボール | 段ボール・紙づつ |
紙パック | トイレットペーパー・ティッシュペーパー |
ご遺品の買取についてでもご紹介しておりますが、私たち横浜ベスト遺品整理社では、新聞や折込チラシ、ノートなどの紙類や鉄などリサイクル可能な物品は買取対象としてお値引きをさせていただいております。
資源を有効活用することも大切な考え方のひとつでしょう。
電子データ化してペーパーレスとする
故人の手紙や日記など捨てるのが忍ばれる書類は、データ化も選択肢のひとつです。
スマホアプリで画像として撮影したり、スマホアプリによってはOCR(光学文字認識)という技術によって文字起こしが可能な場合もあり、検索できるようになるかもしれません。
さらに「ScanSnap|PFUダイレクト」のような機器を利用して、ご自身でPDFファイルを作成できるかもしれません。
また、データ化したい書類が大量にある場合には、データ化の専門業者に依頼すると良いでしょう。
データ化を業者に委託する場合には個人情報の漏洩リスクについて納得した説明のある信頼できる業者を選びましょう。
まとめ
今回は、遺品整理での紙の取り扱いについてご紹介しました。
重要書類以外は、そのまままとめて集積所に持っていくなどとされる方を見かけます。
しかしながら、ネット通販で購入した商品に同封されている納品書や、水道光熱費の明細など、ご家庭の書類は個人情報が詰まっています。
悪意のある人間にかかれば、ちょっとした所から職場や学校を探し当てられるリスクがあります。
個人情報漏洩のリスクを抑えながら、お片付け作業を行う場合には、溶解処理を行い安心した書類の処置をオススメいたします。
当記事が遺品整理の書類にお悩みの方への一助となれば幸いです。
最後までお読みくださいましてありがとうございました。