遺品整理では、必然的に多くのプライバシーに関する情報を取り扱うことになります。
そのため、故人のプライバシーを最大限尊重した作業が求められます。
つまり、故人が生前に持っていた個人情報や秘密を守り、不適切な公開や利用を防ぐ必要があるのです。
さらに、故人の個人情報を適切に管理し、不必要な情報は適切な方法によって処分されなければなりません。
高度な情報化社会にとって、個人情報やプライバシーに関する懸念は非常に大きくなりつつあり、ご心配の方も少なくないことでしょう。
今回は、遺品整理に係るプライバシーについてまとめました。
遺品整理を行う際、故人の身元が分かる証明書等は故人の情報が詐欺や架空請求に利用されるだけでなく、遺族も犯罪に巻き込まれる可能性があるためとくに注意すべきです。
遺品整理におけるプライバシー問題
遺品整理では、故人の個人情報が含まれる書類やデジタル製品を扱うため、プライバシーの問題に直結します。
これらの情報が不適切に取り扱われると、個人情報の漏洩や不適切な利用が生じる可能性があります。
そのほかにも、遠方からのご依頼では郵送などによって鍵をお送りいただいたり、作業中は故人の自宅に出入りすることになります。
信頼できる業者に任せる必要性はどうしても高まります。
プライバシーを尊重する遺品整理の方法
プライバシーを尊重するためには、故人の個人情報を含む書類やデジタルデバイスを適切に管理し、不要なものは適切に処分することが重要です。
プライバシーを侵害する可能性のある遺品
プライバシーを侵害する可能性のある遺品としては、個人情報を含む書類やデジタル製品が挙げられます。これらの遺品は適切に管理されないと、個人情報が漏洩したり不適切に利用される可能性があるためです。
例えば、パソコンやスマートフォンについては、回数制限はあるものの、パスワードを解析できる可能性があります。そのほか、多くの場合、ブラウザに閲覧履歴が残されているため、口座情報とか、ネットで株の取引をされていたといった情報はご家族にお知らせします。
しかしながら、手紙やデジタルデータ等に残された故人の趣味趣向など、ご家族が積極的に知りたくない情報については、ご家族にお渡しすることを念頭に慎重に判断を行い、場合によってはお知らせしないこともあります。
そのほか、年金振込通知書や税金関連、公共料金など公的な書類、時には借金に関する手紙を発見することもあります。
こうした書類は相続の際の重要な判断材料となるため、提携士業やお客様を担当する士業の方と連携して情報の共有に努めます。
プライバシー保護のためにさらに踏み込んだサービスも
私たちが担当する遺品整理の場合、プライバシー保護のため、お名前など少しでも個人情報が含まれているものは溶解処理を行うケースがほとんどです。
溶解処理とは、書類を特殊な溶剤で溶かして廃棄する処分方法です。
厳重に管理し、チャーター便など専用の輸送手段を用いて溶解処理工場にて安全に処分されます。
また、デジタル製品については、ハードディスク等の物理破壊のほか、スマートフォンなどについても、デバイスのデータを上書きして復元できない状態にすることで完全なデータ消去(ゼロデータ消去など)を行います。
また、お客様がデジタル製品の再販をご自身で行われる場合でもゼロデータ消去を行って、復元不可能な状態にされることをオススメしております。
遺品整理における法的な観点からのプライバシー
2017年5月30日に施行された個人情報保護法は、故人に関する情報については保護の対象とはなりません。
個人情報保護法は、「個人情報」を生存する個人に関する情報に限っており、死者に関する情報については保護の対象とはなりません。
ただし、死者に関する情報が、同時に生存する遺族などに関する情報である場合
(例:死者の家族関係に関する情報は、死者に関する情報であると同時に、生存する遺族に関する情報である場合があります。)には、その遺族などに関する「個人情報」となります。なお、生存する個人と死者に関する情報を一体的に管理しているような場合において、事業及び情報の性質等を踏まえて、死者の情報についても漏えい等しないように適切に管理することは、望ましい取組と考えます。
個人情報保護委員会「死者の情報は、個人情報保護法の保護の対象になりますか」より引用
以上のように定められているからといって、故人の情報について不適切な管理をしても良いことにはなりません。
しっかりとプライバシーに配慮した作業が求められます。
まとめ:遺品整理におけるプライバシー尊重のためのチェックリスト
今回は遺品整理とプライバシーについての内容についてまとめました。
故人の個人情報に関わる情報についても適切な管理が必要です。
最後に、プライバシー尊重のための遺品整理を行うためのチェックリストをお伝えいたします。
- 故人の個人情報を含む書類やデジタル製品は適切に管理されているか?
- 不要な個人情報は適切に処分されているか?
- 遺品整理業者はプライバシー保護に配慮しているか?
- デジタル製品のデータは適切に管理され、不要な情報は適切に消去されているか?
少なくとも、これらの内容をしっかりと遵守している業者に依頼するのが良いでしょう。
この記事がプライバシーに配慮した遺品整理を行おうとされている方への一助となれば幸いです。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
なお、しっかりと対策する場合には、生前からの対策も視野に入れておきましょう。