遺品整理には、多くの選択肢の中から、あなたの課題に合わせて最適なお片づけの解決策を提案するサービスという側面があります。
「他社で見積もりを取ったが、料金に対して納得がいかない」とか「『遺品整理作業一式』としか料金が掲載されていないので不安だ」とご相談いただくことがございます。
すでに見積もりを出していただいたのにもかかわらず、その内容に納得できない気持ちが生まれるのは、何かしらの不信感が存在するためではないでしょうか。
今回は遺品整理の見積もりについて、遺品整理の見積書の見方をお伝えすることで、納得できない原因を明らかにし、トラブルを未然に防ぐための方法についてご紹介いたします。
※当記事は、特定の業者をあげて批判したり、現在の遺品整理の業界全体についての苦言を呈するものではありません。あくまでも遺品整理の見積書の見方を一般の方にお知らせすることによって、より良いお部屋のお片づけとなるような知見の共有を目的としています。
遺品整理における見積もりの意義
- 40万
- 27万
- 22万
突然ですが、これらの数字は、すべてとある一軒家の遺品整理で、遺品整理業者3社が出した見積額です。
大きく開きがあることに驚かれたのではないでしょうか。
近ごろ、遺品整理業者の見積もりや作業で、満足な結果を得られないお客様が多くなっているようです。
価格については、当社のブログでも、遺品整理の相場について詳しく解説しております。
まず、遺品整理業者の見積もりを依頼するときに注意するポイントを3つご紹介いたします。
遺品整理業者への見積もりの心得3つ
- 料金は、相見積もり必須。
- 整った制服(ユニフォーム)をきちんと身につけているか確認する(社員が映っているウェブサイトの写真やチラシなど)
- 運営会社の会社概要など、きちんと整備されたウェブサイトが存在するか調べてみる
- ご遺族へのいたわりの言葉や気遣い、お客様の質問に対して丁寧に答えてくれるかどうかを電話して確かめる
遺品整理業者への見積もりの基本は、やっぱり相見積もりです。
遺品整理の料金は、作業内容や、残された物の量など、多く検討材料から決まります。
そのため、一例として制作事例が紹介されていても、値段に開きがありすぎて混乱してしまいます。
そこで、依頼しようとしている現場の実際の費用感を確かめるために、現地調査と見積もりを出していただく、という選択肢が有力となります。
制服・ユニフォームの意義
作業用のきちんとしたユニフォームをもつ業者は、きちんとした洋服を作り出すことに対するコストをかけています。
動きやすいデザインを考え、お客様に作業員として認めてもらうため、社内で時間とお金をかけているのです。
単純なことかもしれませんが、この作業着を、春夏秋冬きちんとお客様の前でビシッと着こなすことができている業者は意外と少ないものです。
会社が用意するユニフォームをきちんと管理できないスタッフが、きちんとした遺品整理作業を遂行できるわけがありません。
制服の起源は軍服だとも言われています。統率力、そして社員教育が行き届いているのか、またその土壌があるのかをこうしたところで推察することができるのです。良い遺品整理業者は、お互いのスタッフを信頼し、個人の経験を、チームプレーを生かすことでご依頼主に答える準備があります。
このように、社員同士の信頼関係は、ご遺族への気遣い、作業に対しての本当に些細な点にまで現れてきます。
信頼のできる業者が、ご遺族へのいたわりや、質問に対して回答できないわけがないのです。
遺品整理業者への見積もり依頼は、直接電話が良い3つの理由
見積もりを依頼する際、遺品整理業者が信頼できるのかどうか、それを見極める上でもっとも手軽なのが、直接の電話です。
またしても当たり前のことだとお感じになるのでしょうが、これには理由があります。
遺品整理業者へ電話をすることでわかること
たとえば、遺品整理業者によっては「下請け」の遺品整理業者を利用しているケースがあります。
下請けを利用している業者に依頼をすることは、なんら問題のないことなのですが、実際に見積もりに来たのが依頼したA社ではなく、下請けのB社というケースはとても多いです。
図解:下請け業社が見積もりと作業を行う例 これは、一例ですが、このように実際担当する業者が下請けである場合、高額請求や意図しない遺品作業となるリスクがあります。
実際はA社に依頼しているのにもかかわらず、B社が見積もりを行い、そのままB社による遺品整理が行われるという場合も少なくありません。
当然B社の社員は、下請けとしてA社の依頼で来ているわけですから、A社を経由している分割高になってしまったり、責任の所在が不明確になる可能性があることにも注意しなくてはなりません。
このように、実際に依頼している先と、見積もりに来る業者が違うということを避けるため、現場担当の人間と会話できる機会が「電話」なのです。
コールセンターを持つような遺品整理業者は稀ですので、通常は見積もり担当のスタッフが受電します。
実際に見積もりを行う担当者と直接電話する機会があれば、その人の人となりが、なんとなく電話でも感じられるのではないでしょうか。
たとえば、横浜ベスト遺品整理社へのご連絡は、見積もり依頼以外にも「このような見積もり金額だったが、貴社ではどのような見積もりを出しているのか」といったお問い合わせもいただきます。
さらには、「仏壇の面倒が見られなくなったので、相談したいのだけど、どこに問い合わせたらいいのかわからない」といったご相談を受けることもあるのです。
LINEなどのSNS全盛の今や、電話は「前時代」的なツールのように見られがちですが、実際の担当者と話ができる機会を逃すべきではありません。
比較サイトを賢く利用しよう
遺品整理業者は、2021年3月現在で全国に800社以上あります。
単純に、これを47都道府県で割ると17社。マクドナルドの定番ハンバーガーは12種類程度ですから、それよりも多いことになります。(2021年3月現在、遺品整理をサービスとして取り扱っている業者は、神奈川県内に80社以上存在しています)
これだけ業者が多いと吟味するのも大変です。そこで、人気なのが「比較サイト」です。
こうした比較サイトでは、遺品整理業者を選ぶ際の無料の電話サポートや複数業者の見積もり比較ができることで好評です。
しかしながら、こうした比較サイトは、業者選び比較するではとても有効なのですが、リスクがあります。
先にお伝えしましたように、実際には異なる業者による作業の可能性や口コミでは測ることのできないサービスの品質や、スタッフへの教育などが見えづらいため、直接、検討する業者に電話をかけていただく方法をオススメします。
以前ご依頼いただいたお客様は、当該業者の事務所の所在地まで出向き、事務所内が乱雑担っていたので、私たちにご依頼いただいたというケースもございました。
遺品整理業者に見積もり時には、アドバイスに耳を傾けて。
それでは、実際に見積もりにやってきた業者に対して、あなたが気をつけるべきことはなんでしょうか。
それは、作業の内容を具体的にイメージできるようなアドバイスを受けられるかどうかです。
お客様にとっては、なんども経験することのない遺品整理の作業だからこそ、わからないことだらけではないでしょうか。
そのため、具体的な手順や、家具の搬出にかかる時間や大切な書類の捜索をはじめ、車や貴重品の買取について、庭がある場合には庭木についてなど、時間、金額、作業人数などを的確に知らせてくれるかどうかでその業者の知見の具合を把握できます。
遺品整理は、とてもたくさんの家財を扱います。そのため、瞬時に判断したり、先回りして大切な書類や、あなたが探して欲しい物があることをスタッフに周知徹底することが大切です。
そのため、見積もり時には、お客様から、作業についてのあらゆる情報を収集し、頭の中で組み立てて行きます。
見積もり時に、あなたが、当日の作業に内容をイメージできるように話を進めてくれる業者は、時間内に迅速かつ丁寧な作業を実施してくれるでしょう。
極めて重要な見積書の役割
一括見積もりサイトや、価格の比較サイトが一般的になった昨今では、複数の見積書を前に、どの業者に依頼すべきなのかお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私たちはまだ「遺品整理」という言葉が定着しておらず「家財整理」などと呼んでいた2000年ごろからお片づけのサービスを提供しております(会社概要)が、2010年ごろから遺品整理サービスを提供する業者が急増していることを肌で感じています。
こうした中で、遺品整理業者の急増を受け、政府も状況の把握に努めようと調査が行われています。
総務省が令和2年3月13日に発表した「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査」には遺品整理の現状についての情報が詳細に検討されていますので、一読の価値があります。今回は調査結果本編のp.31にある表6「見積書の記載事項の具体例」も参考にご紹介します。
以下いつ、何を、どのように、いくらでやってもらえるのかを知ることができる見積書の重要な役割について見ていきます。
見積書はあなたの現場のカルテ
あなたが「お部屋の整理をしたい」などの課題を解決するための見積書は、いわば、あなたご実家やご自宅の「カルテ」のようなものです。
この見積書には大きく3つのポイントがあり、これらのポイントを理解することがトラブルを未然に防ぐ上で大きな役割を果たします。
- あなたが依頼する意思と、業者が作業を担当できる意思を表す。
見積書で正式な作業金額を把握し、比べたり、交渉することで、最終的な決定をしやすくします。 - 認識の違いを防いで、作業内容について業者と見解を一致させる。
見積書には価格や支払いの条件、作業日や作業に必要な時間などが記入されているため、認識の違いを防止する役割があります。 - 業者からあなたへ情報を伝える。
遺品整理の契約を行う上で、取引を行う相手と内容や必要な費用の確認を行うという役割があります。
決まった様式(テンプレート)が存在しない遺品整理の見積書
遺品整理には見積書の形式について法律等で定められた様式が存在せず、業者によってさまざまな記述方法が存在します。
インターネット検索を利用すると見積書のテンプレートが数多く出てきます。
確かに私たち業者にとって、業者を通じて用いられているような形式がない分、参考にはなるのですが、通常、テンプレートを書き換えてそのまま流用するといったことは行いません。
確かに見積書は、どんな方にもわかりやすく比較検討できるように項目を整理する必要があり、ある程度同じ形式になります。
しかしながら、業者によっては「リサイクル」を重視していたり「買取査定」を重視しているなどして、見積書の項目が他社と微妙に異なるケースが多いことでしょう。
見積書は、一読しただけで、業者が大切にしているポイントがわかる書類のため、大きな参考となるのです。
「わからない」を無くす見積書のポイントと注意点
それでは実際に見積書を読む上でのポイントと注意点を具体的にご紹介します。
見積書の様式や見積もりの方法は、業者によってまちまちです。
しかしながら、以下のような項目が記述されていることが多いと考えられます。
- 整理作業に対しての費用
- 搬出作業に対しての費用
- 廃棄物の処理費用
- 買取り代金
- 移動に利用する車両の費用
- 人件費
ここで注意が必要なのは、業者間で項目名が同じであっても、作業の内容が同じとは限らないことです。
追加請求の可能性を見極める
遺品整理の作業は大まかに仕分け・搬出・査定・処分・清掃の作業を指します。これらのすべての料金が見積書に掲載されているのかどうかを確認しましょう。
たとえば、仕分け・搬出・査定・処分は見積もりに含まれていたとしても「清掃」作業が含まれていない場合には、思わぬ追加の請求となる場合があるからです。
業者によって考え方が異なる「作業の費用」
見積もりを行う場合に、遺品整理の中心サービスである「遺品整理作業費用」については、業者によって考え方が異なります。
たとえば、同じ現場でも現場責任者1人あたりの人件費や作業量を重視した見積もりで「遺品整理作業一式」と記載されているケースもあれば、ご遺品の量を重視し、いくつかの項目を積算している見積もりとしているケースもあるのではないでしょうか。
見積書へ記入する考え方は、お客様のケースによってもまちまちで、どちらが良い悪いとは判断できない部分です。
これに加え、リサイクル費用やご供養やデジタル遺品の対応など、オプションサービスの記載方法についても業者によって項目が異なります。
諸項目を比較したり、業者に質問したりすることによって、作業の全体像から、細かなひとつひとつの作業に対しての疑問を解決するために質問するのが賢い遺品整理業者の選び方と言えるでしょう。
見積書作成の料金について
私たちをはじめとする多くの業者が見積書を作成するための現地調査や見積書作成は無料であることがほとんどです。
場合によって遠方へ見積もりの場合(出張費)や、見積もりが複数回に渡る場合には、料金が必要な業者も存在するため注意が必要です。
見積書を見る時の注意点
見積書を確認する場合に確認したいポイントは以下のような項目です。
特段の理由なく見積もりが届かない、というようなケースも聞くことがありますので、注意しておきましょう。
- 作業の内訳が明記されているか・単価や数量を疑問に感じないか。
数量を書くのが難しい項目には「一式」と記載されていることもあるため、注意が必要です。 - 作業料金の計算ミスがないか。
- 作業内容が明記されているか。
- 料金の数量や単価
物量(体積やトラック換算)×料金単価で計算されるため、料金単価がポイントとなるケースもあることでしょう。 - 見積書の有効期限はいつまでか。
- 見積書に書かれている作業日程
正しくあなたが意図する作業日数や完了日が書かれているかを確認する。 - キャンセル料についての言及が記載されているかどうかを確認する。
契約書が存在する場合には、契約書で確認する。 - 前払いの有無
前払いを求める場合には金額や支払い方法についてきちんと記載さていることを確認する。 - 買取査定やリサイクル対象となる商品についての値引きの言及
買取可能なものやリサイクルの対象となる商品が存在する場合には、値引きが可能なケースも多いため該当する業者に確認するのが良いでしょう。
見積書の明細や内訳に登場する用語の例
ここでは簡単に見積書の明細や内訳に登場する用語についてご紹介します。
なお、以下の表現はあくまでも先述の調査報告をもとにした例であり、当社、他社様の見積もり問わず、以下のような表現を必ず使用しているわけではありません。
ご依頼いただく場合には、実際にお客様専用のくわしい見積書をご確認ください。
項目 | 表現 | 説明 |
---|---|---|
単位 | 立米(㎥) | 「りゅうべい」と読みます。タテ・ヨコ・高さが1メートルの立方体の体積あたりの値段の算出に使用します。 |
単位 | 1台 | 軽トラックや2tトラックなど車両に積みこめる積載量を基準として●台分として記載されています。立米と一緒に使われることは稀です。 |
単位 | 一式 | 「いっしき」と読みます。全部ひとまとめという意味で、明確な単位などがなく、数量の算出が難しい場合に利用されるようです。 |
単位 | 時間・人時・名 | 作業員3名で6時間などの場合18時間というように、作業員×時間で算出しているケースではこのような表記が見られます。 |
品目 | 分別費・移動費 | 残されている品物の分別を行う場合の作業費用のことです。大物家電家具などの「移動費」と掲載しているケースもあるようです。 |
品目 | 梱包費 | 遺品配送や、持ち運びのために梱包する作業に対しての費用のことです。単位は1箱、1台や立米表記となることが多いです。 |
品目 | 処分費 | 不要となった品物の処分についての費用です。 |
品目 | 家電リサイクル費用(またはそのような表現) | 冷蔵庫や洗濯機などのように家電リサイクル法の適用となる家電についてのリサイクル費用です。 |
品目 | 交通費 | 遠方などのケースで事業者から遺品整理を行う現場までの交通費が請求される場合にはこの項目が存在します。 |
品目 | 諸経費・その他 | 上記の項目に当てはまらないものを諸経費としている見積もりが存在するようです。 |
以上の他にもハウスクリーニングや特殊清掃など、状況によって多くの項目が追加される可能性のあることに注意してください。
遺品整理の料金は物量が決め手となる
遺品整理などのお家の片付けの見積もり料金は、部屋の大きさや荷物の量によって、おおよその費用が決まります。
荷物が増えれば増えるほど、時間や、必要となる作業スタッフ、トラックなどの車両が増えるため料金に加算されていきます。
一方で、作業時間や間取りが遺品整理の料金に影響を与えるケースは少ないように感じます。
部屋数が多くなると物量が増えるため、必然的に料金が上がります。
料金については「遺品整理をとにかく安く済ませたい人が知るべき3つのこと
」でもくわしく解説しております。
料金の基本的な考え方は、間取りや作業時間等ではなく荷物の量や処分する物品の数です。
加えて、現場によってスタッフの数が異なり、料金にも影響します。
たとえば、作業場所の団地にエレベーターがなく階段での搬出となる場合には、人員を増加させる必要があるなど、作業場所の状況や作業手法なども見積もり金額に影響してくるのです。
また、当社の場合には参考事例のページで間取り別にお見積もり料金、買取・リサイクル値引きの料金、お支払い価格についてご確認いただけます。
遺品整理の見積書で不明な点をなくすために。
今回は、見積書の見方についてお知らせしてまいりました。
現在お手元に見積書がおありの方も、これから見積もりを取ろうとされている方も、相見積もりを行なって比較することで思わぬ出費を防いだり、買取査定に強い業者を選ぶことによって作業費用を圧縮することができるかもしれません。
冒頭ご紹介したように、いつ、何を、どのように、いくらでやってもらえるのかを明文化したものが見積書です。
あなたが納得して安心した作業実現するためには、価格の根拠とその理由を明確に説明できる業者に依頼するだけでは足りないかもしれません。
必要な時や状況で、遠慮することなく質問できる業者を見つけるのがもっとも重要な視点だからです。
その意味で遺品整理についての見積もりと、それに対しての質問が、良い業者選定への一助となることでしょう。
そして、見積もりが出揃ったら、よく見返して、見積もりの項目の内容も含めて検討しましょう。
わからないことは、すぐにでも電話連絡をして明らかにしておくことをオススメします。
また、ある種直感で「この人(業者)なら」という感覚がある業者を選ぶことも重要です。こうした遺品整理業者は、あなたに対して、信頼に足りうる証拠を残していってくれているはずです。
この業者さんなら間違いない。そうあなたが思う業者を見つけるまで妥協すべきではありません。
そして、この業者さんなら間違いないと、あなたが思った遺品整理業者であれば、必ず期待に応えてくれるでしょう。
もしもお見積もりに不満や不審点などを感じる場合には、手間のかかることですが、他の業者へ相見積もりなどを行うというのも、ひとつの選択肢として考えてみると良いのかもしれません。
この記事が、課題を抱えるあなたへの一助となれば幸いです。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。