実家の整理を自分自身で行ってみよう。
ご依頼いただくお客様の多くが一度はお考えになることでしょう。
遺品整理は今までの「生き方」をしっかりと見つめることのできる時間となります。
今回は、実例を元に、遺品整理を業者に頼むことなく進めた場合のポイントをまとめました。
遺品整理のHPをのぞくたびに最終的な結論として業者に依頼することを勧めてくるものが多いように感じますが、今回は遺品整理業者の視点ではなく、一般のお客様と同じ視点でお伝えできるように留意しています。
結論:全体像を把握すること、計画の重要性
自分で実家の遺品整理を行う場合、家族3人で2週間の期間が必要でした。
2週間必要となった理由は色々考えられますが、振り返ってみると家庭ごみの収集日がもっとも大きな原因だと感じます。
人手が足りないのも原因のひとつだったのかもしれません。
要・不要の判断にも時間がかかりますし、大型家電や家具の運搬にも人手が必要だからです。
遺品整理を自分で行ってみて感じた感想は「計画の重要性」と「全体像を把握しているかどうか」が極めて重要だということでした。
以下、自分で遺品整理を行うにあたって必要となる情報をくわしくお知らせします。
自分で遺品整理を行うにあたって必要なもの
自分で遺品整理を行う場合、必要な道具は事前に準備しておきましょう。
私たちが実際に遺品整理の現場でも使っている、最低限揃えておいた方が良いものは以下の通りです。
- 遺品整理に適した動きやすい服装
- 遺品の仕分けを行うための袋と箱
- 遺品整理の作業中に必要となる道具
以下、ひとつずつ見ていきます。
遺品整理に適した動きやすい服装
- ジーンズやチノパンなどのしゃがみやすいズボン
- マスクの着用でホコリから身を守る
- 軍手を着用して思わぬ怪我を防ぐ
遺品整理に適した動きやすい服装として、しゃがんだりするのが苦ではない長ズボンを着用します。
ジャージやスウェットは理想的ですが、近隣への挨拶や不用品を捨てたりする際には外に出る必要もあるため、ストレッチジーンズやチノパンなどを着用しても良いでしょう。
また、作業中はホコリが舞うためマスクの着用や、手元の不注意で怪我をしないようにゴム付きの軍手を着用するように心がけましょう。
また、私たちが普段より愛用している軍手は、ショーワグローブ株式会社より販売されているグリップ(ソフトタイプ)シリーズをオススメしています。
コンビニでも購入できること、ダンボール箱を運ぶ時にも滑り止めが余計な力を入れずに運ぶことができるので、ぜひお試しください。
遺品の仕分けを行うための袋と箱
- ビニール袋は45Lと90Lのサイズを用意する(自治体指定のものがあれば使用する)
- ダンボール箱は持ちやすいサイズを選ぶ
- ガムテープやビニール紐も準備しておきます
ビニール袋は45Lと90Lの両方を用意しておくと安心です。
45Lはご家庭でも多く使われるゴミ袋の標準的サイズですが、90Lの大きめなサイズは主に50cm未満のプラスチック製品を処分する時に袋へ入れやすく便利です。
ダンボール箱は持ちやすいサイズを選んでから購入した方が良いですが、私たちが遺品整理で主に使うダンボールは100サイズ(長さ377×幅267×深さ284 mm)の物を使用しています。
遺品整理では階段から降ろしたり、車までの距離を運ぶ必要があるため、ゴミ袋やダンボールに遺品を入れる際には持ち上げて重さを確認しながら作業を進めましょう。
遺品整理の作業中に必要になる道具
- 高所作業では椅子などで代用せず脚立を用意する
- ダンボール箱の運搬用に手押し台車はあると作業が楽になります
- ハサミやカッターナイフは人数分用意しておくと良いでしょう
- 太めの油性マジックペンを用意し、ダンボールに何を入れるのか、何を入れたのかがわかるようにしておきましょう。
遺品整理の作業中は安全に進めるための道具も揃えておくと良いでしょう。
たとえば、シーリングライトなど照明器具を外す時、椅子などで代用すると転倒の恐れがあり大変危険です。
高所作業では安全を確保するために脚立を用意しておくと安心です。
また、ダンボール箱やビニール袋を運ぶ時には手押し台車があると体への普段が少なく、スムーズに作業が進められるので用意しておくと良いでしょう。
自分で遺品整理を行う場合の方法と流れ
自分で遺品整理を行う場合には、場当たり的に始めることなく、基本計画をしっかりと立てましょう。
- 遺品整理をいつから始めるのか?
- 遺品整理はいつまでに終わらせるのか?
- 不用品を処分する計画は入念に立てる(ゴミの収集日など)
遺品整理はお家の広さや物の量によって、作業量も変わります。
もちろん、物の量が多ければ多いほど時間がかかってしまい、その分だけ片付けをする方が遺品整理で時間を割かなければなりません。
遺品整理の業者に依頼することも有効な方法ですが、自分で遺品整理を行う場合でもいつから、いつまでに行うか、計画をしっかりと立てておきましょう。
計画や予定が不明瞭であればあるほど、他のことに気を取られてしまい、思うように作業が進まなくなります。
遺品整理を始める前には、いつからいつまでに終わらせるのか、具体的な日時をしっかりと決めておきましょう。
遺品整理のコツは片付けの基本である事前に計画を立てること
片付けることを想定した作業の流れを時間割で決めておくとスムーズに作業が進められます。
遺品整理では大きく分けて以下の5つの作業を行います。
- 準備:近隣へのご挨拶、運び出しルートの確認
- 作業:形見の仕分け、不用品を分別する
- 搬出:確認した運び出しルートにしたがって搬出を行う
- 清掃:ホコリ、水回りや床の汚れを掃除する
- 供養:仏壇、位牌、人形、鏡、針などのご遺品を寺院にて供養する
作業はひとつずつ確実に終わらせましょう。
5つの順序を守って、集中して作業を行えばムダなく行動できるため、効率良く作業を進めることができます。
遺品整理では作業と搬出にもっとも多く時間がかかります。
作業は3日間、搬出に2日間など、時間割でスケジュールを決めておきましょう。
粗大ゴミや分別したごみの収集日はカレンダーや予定表に必ずメモする
遺品整理を自分で行う時には、粗大ゴミやごみの収集日を把握しておかないと思うように作業が進まなくなります。
せっかく作業が終わったのに、ごみ収集日に都合がつかないといったケースも考えられます。
なお、近隣の方のご迷惑になるため必ず決められた収集日と場所を守りましょう。
収集日以外にゴミを出したり、常識の範囲内を越える分量のゴミを出すなどの行為は絶対にやめましょう。
ゴミ置き場に置ききれない量を出したり、隣のマンションのごみ置き場にごみを捨てるなどの行為は不法投棄となることもあります。決められたルールをしっかり守ってお片付けを行いましょう。
必要なものと不要なものを仕分ける
引っ越しでご経験の方もいらっしゃると思いますが、仕分けはとても大変な作業となりがちです。
そこで、要不要に「保留」を合わせた3つの分類にすることで、仕分けスピードを大幅に短縮できます。お試しください。
なお、残しておくものにも注意が必要です。
遺品整理をお考えの場合、すでに遺産分割協議等が完了している方が大半だと思います。
しかしながら、後々必要となる書類や保管しておいた方が良い書類もあります。
くわしくは以下の記事をご覧ください。
不用品を廃棄する
仕分けが完了したら処分品をゴミに出します。
燃えるゴミや燃えないゴミは自治体によって指定された方法でゴミに出します。
リサイクルが可能な品物や家電リサイクル法の対象となるものの場合には、適宜業者や引き取り業者に依頼しましょう。
処分する物品が多い場合には業者の手を借りるのも選択肢のひとつです。
なお、自分の利益しか考えない悪徳な業者には注意しましょう。
残されたご遺品の行方を思案する
財産価値のあるご遺品などは形見分けを行うのが良いでしょう。
故人の思い出がある品物は形見分けすることでご親族にも喜んでいただけることでしょう。
今後ご家族でも管理することの難しい趣味のコレクションなどは買取に出すという選択肢もあることでしょう。
すべては、故人を偲ぶことで決断できることでしょう。
ご遺品の行方に迷う場合には、急いで結論を出す必要はありません。しっかりと決断できるまで結論を先延ばしするのも大切な遺品整理です。
なお、私たち遺品整理の作業では正しい価値を鑑定士などに依頼した上で、お客様に要・不要をご判断いただいております。
遺品整理を自分で行う場合の注意点
ここまで遺品整理を自分で行った場合の方法についてお伝えしてきました。
自分で遺品整理を行う場合には、精神的・身体的な負担以外にも注意点があります。
以下のようなポイントには注意しましょう
- わからないものは保留に。
誤って価値あるものを処分してしまったり、相続や税金関係の確認に必要な土地の権利書や銀行口座などを誤って処分してしまわないように注意しましょう。 - 余裕を持ったスケジュールを
精神的にも身体的にも大きな負担が伴うご家族だけでの作業ですから、スケジュールには余裕を持たせましょう。 - 近隣への配慮
遺品整理作業中には搬出したり、家族で声を掛け合うなど騒音の原因となる場合があります。事前に挨拶を行うなど、十分に注意しましょう。
自分でやる遺品整理をスムーズに進めるためのポイントは余裕を持たせた計画
遺品整理のコツとして、自分で片付けの予定を決める時は2日〜3日くらいのゆとり(予備日)を設けるようにしましょう。
遺品整理では期間を短くし過ぎてしまうと、予想していないトラブルが起きた時ほどストレスとなってしまいます。
逆に期間を長く設け過ぎても集中力が落ちて、長引いてしまうこともストレスとなるでしょう。
遺品整理を上手に進めるコツとして、適度に2日~3日間の予備日は設けるようにしましょう。
自分で遺品整理を行なった場合の実例
ここからは、実際に遺品整理を自分たちで行った場合の実例をご紹介いたします。
今回遺品整理を行なった横浜市内の2LDKの団地。
業者に依頼した場合、作業期間は、打ち合わせと実際の作業など合計で2日間。作業時間数は、8時間程度です。今回のケースのご請求金額は税込32万円でした。
参考「もう迷わない。遺品整理の相場と費用の目安を間取り別で知る。」
自分たちで遺品整理を行う場合には、トラックや処分費用がを考慮すると、レンタカー料金、燃料代、駐車場代、粗大ゴミ処分費、ガムテープなどの資材を概算で7万円程度の支出です。
こちらの2DKを自分で遺品整理を行おうとした場合にかかる時間は2週間(正確には16日)でした。
自分自身で遺品整理を行おうとした場合には、確かに費用面での負担は1/4程度になります。
しかし、業者が正味1日であるのに対し、自分自身で遺品整理を行おうとした場合にかかる期間は、おおよそ2週間となってしまいました。
自分で遺品整理を行なったら2週間もかかってしまった理由
なぜ2週間もの時間を費やす必要があるのか、その原因は、ゴミの出し方と作業時間にあります。
収集日を考慮していないと膨大な時間的ロスにつながる。
自治体によって清掃工場に家庭ゴミを持ち込めるところもありますが、一般的には、すべての家庭ゴミを持ち込める自治体は多くありません。
郊外ですと、たとえば、東京都町田市(町田リサイクル文化センター内清掃工場)などゴミ集積場へのゴミの持ち込みが可能なようです。
しかしながら、同じ郊外でも、神奈川県川崎市の場合には、原則持ち込みの受付は実施していません。
また、神奈川県横浜市の場合には市内4か所にある施設へ、ご自分で直接持ち込むことは可能なようです。
家庭ゴミを自分の都合で持ち込める自治体にお住まいの方は、車にすべての家庭ゴミを積み込んで、清掃工場へ持ち込むことが可能になるのです。これに対して、家庭ゴミを持ち込み処理できない場合には、各自治体の定める収集日に合わせて分別したゴミを出す必要があります。
さて、ここで問題となるのは、冒頭でご紹介した収集日に合わせてゴミを出すことの難しさです。
ゴミを分別する作業は基本的には、部屋を片付ける作業と並行して行うものであり、ゴミを排出できる場合というのは、一部あるいは全部を片付けてしまった後なのです。
したがって、燃やすゴミだけを収集日に合わせて出そうとしても、そんな器用なことはなかなかできません。
そのため、すべて部屋を片付けてからではないとゴミとして出すことはできないのです。
大物家電・家具などは手伝いが必要で親族の力を借りる必要も
今回は、幸い筆者の息子が10代後半ということもあり力を貸してくれましたが、一般の方が大物家電を処理する場合には、家族だけの力ではなんともならないことも多いものです。遺品整理を行うときに無理をして病院のご厄介になるようでは本末転倒もいいところ。
さらに普段から遺品整理を行なっている経験も相まって、割合スムーズに進めることができたと感じています。
怪我に注意して安全な作業を進めるのはもちろんですが、親族に声をかけるなどしてお手伝いが必要になるケースもあることを痛感しました。
家族以外の人に協力を仰ぐ場合には、そもそも依頼するのが難しい状況であるのに加え、予定をすり合わせていくことも必要となります。
調整している間にに3日間が経過しているなどというケースは、実際とても多いのです。
仕事終わりや休日に遺品整理を行うという無理なスケジュール
お客様の中には、団地住まいのご両親のアパートの片付けをするために、仕事終わりに車を走らせて団地に向かって作業をするという方もいらっしゃいます。
夜間の作業では騒音などの問題もあるので、あまり大掛かりな作業ができないだけではなく、仕事終わりの時間に整理の作業を行うのは難しいことが多いはずです。
さらには、エレベーターホールなどには、運搬用の養生(廊下のコーナーなどへモノがぶつかったときに保護するための処置)が必要なケースも多く、経験がない場合には思わぬトラブルを招くこともあるでしょう。
事前の準備がとても大切になります。
まとめ
今回は自分で遺品整理を行う場合のポイントを筆者の経験からまとめました。
まとめると以下のようになります。
- 遺品整理は事前に粗大ゴミの回収日などを確認して計画を立てる
- 必要な道具をしっかり揃えておけば、安心して効率よく遺品整理が進められる
- 計画には予備日を2~3日設けて気持ちにゆとりを作る
遺品整理をスムーズに進めるコツとして、最初の計画がとても重要だと再認識させられました。
遺品整理を自分で行いたい方は、必要な道具を準備してから計画的に片付けを進めましょう。
当記事が自分で遺品整理をお考えの方への一助となれば幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。