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相続放棄をするときは遺品整理で家財を処分しても大丈夫?

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相続放棄を行なった人や計画している人は、孤独死などで緊急の片付けが必要など特殊な事情を除いて、遺品整理を行うことはできません。

一方で、相続放棄をしたとしても、遺品整理をしなくてはならない場合も存在します。

しばしば誤解を生み、わかりにくい相続放棄と遺品整理の関係をお伝えします。

遺品整理と相続放棄についての結論

相続放棄した人は、遺品の所有権を持たないので、原則として遺品整理を行うことはできません。

そのため、相続人であるあなたが財産を相続するか、相続しないか決断する前に遺品に手を触れるべきではありません。

しかしながら、相続よりも前に遺品整理を行っても問題ない場合もあります。

孤独死など緊急の対応を迫られるような場合がそれにあたります。相続手続きを行う前に遺品整理しても問題ないケースなどについてくわしくは「相続前の遺品整理:遺品整理をしても相続したことにはならない。」をご覧ください。

相続放棄を前提にしていたとしても、法律的な正しい知識と手順を理解していなければ、相続放棄を否定する事態となってしまいます。

そのため、自分勝手に判断することなく、専門家の判断を得ながら手続きを進めていくと良いでしょう。

また、相続放棄は取り消すことはできません。

基本的には相続放棄を前提とする場合、家財やご遺品の処分を行うことはできないと考えた方が良いでしょう。

また、相続放棄の手続きが認められるまでは、相続財産を大切に管理しなければなりません。

くわえて、相続放棄を行う場合でも、手紙や写真など明らかに高額な価値を有するものでなければ形見として受け取ることができます。

そもそも、単純承認などの「財産の処分」とは価値のあるもの(換価性のある高価な遺品)を売却したりする場合のことを指すのです。

相続放棄をしたとしても遺品整理をしなくてはならないこともある。

しかし、相続放棄をしても遺品整理をしなければならないこともあります。

相続放棄をしても財産の管理責任は継続している場合があるからです。

たとえば、ゴミ屋敷のようになってしまっていて悪臭が漂っているケースや、空き家同然となり倒壊寸前であるなど、近隣の方にご迷惑をかけていたり、苦情がきてしまっているような場合です。

近隣の方に対して明らかな危害が加えられている場合には、損害賠償を求められるケースもあります。

さらに賃貸物件の場合には、相続人であるあなたが保証人などになっていて、相続放棄は行っていたとしても賃貸物件についての責任を負うといったケースも存在します。

こうしたことを避けるためには財産管理の責任を、家庭裁判所選任してもらえる相続財産管理人に引き渡すといった解決策があります(以下で解説)

遺品整理と相続放棄:それぞれの用語について

ここでは、今回の記事の骨子となるふたつの用語「遺品整理」と「相続放棄」について見てみます。

遺品整理とは

遺品整理は「お家のお片付け作業」のことを言います。

本質的に「お部屋のお片付け作業である」という意味で、遺品整理と生前整理に大きな違いはありません。

くわしくは「遺品整理とは」にてご覧いただけます。

お家に残された物品を仕分け、搬出し、お部屋をきれいにすることが遺品整理作業の本質です。

また、遺品整理業者にとっての「遺品」とはご自宅に残されたすべての物品を指します。

相続放棄とは

相続放棄とは、財産を受け取る対象となる人(相続人)が亡くなった人(被相続人)の権利や義務を一切受け継がないことを言います。すなわちすべての財産を相続することを拒否するということです。

相続放棄は相続開始の事実を知ってから3か月以内に手続きをする必要があります。

相続放棄の手続きは、相続人ひとりが単独で行え、簡便な手続きです。

この相続放棄と聞いて思い浮かぶ方の多いのが「両親が借金をしていた」というケースではないでしょうか。

ご承知のように、相続放棄を行うことで、借金返済の義務を免れます。相続する財産が明らかに負債過多である場合には相続放棄することで、全額免除されることになります。

相続資産を特定の誰かに集中されるケースにも使われる。

こうした負債を免れるための相続放棄以外に、相続人の誰かひとりに資産を集中させたいケースなどでも相続放棄が行われることがあります。

たとえば、兄弟姉妹のうち、だれかひとりに相続資産を集中させるために他の相続人が相続放棄を行うといったケースです。(3人兄弟の妹2人は嫁いでいるので、兄に資産を集中させるなど)

このように、相続放棄は借金がある時だけではなく明確に相続の必要がないという場合にも利用されることがあり、その手続きも非常に簡単なため相続放棄が利用されるシーンは想像以上に身近だと言えるのかもしれません。

ところで、相続放棄以外にもいわゆる「死後事務」という手続きは期限付きのものからないものまで含めて非常に多くの数が存在します。その内容や期限については「ご家族やご親族の死亡届提出後に必要な手続き一覧」をご覧ください。当社でもお客様にサポートをさせていただくこともしばしばございます。

相続放棄の際の遺品整理について

具体的に相続放棄の際の遺品整理について、その注意点や流れについてご紹介いたします。

当然ですが遺品整理は「部屋を片付けなければならない」などのような目的があって行われます。

相続というお話のケースであれば、実家など不動産が関係してくるケースも多いことでしょう。

そこではまずは、遺品整理を行う場所である相続の対象物件について見ていきます。

結論から申し上げれば、相続放棄しても一定ケースで相続財産の管理義務は残ります。

賃貸であれ、実家であれ相続放棄で混乱しがちなのが管理責任についてです。

管理責任とは?

相続放棄をした後には、相続財産を管理する義務を負わなくても済むように感じます。

しかしながら、相続放棄することで相続財産を管理する人が誰もいなくなってしまうと財産を適切に管理できず問題が発生します。

そのため、相続放棄をした人は、他の相続人となった人が相続財産の管理を開始できるまで、自分の資産と同じものとして大切に管理しなければならないという定めも民法に存在します。

すなわち、相続放棄しても相続財産の管理義務から解放されるわけではないのです。

たとえば、相続人の全員が相続放棄をした場合は、相続財産の管理を引き継ぐ人がいないことになってしまいます。

相続放棄によって相続人が存在しなくなってしまうようなときは、放棄した人などが家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立て、その管理人に相続財産の管理を引き継ぐという手続きをとります。

相続財産管理人とは?

相続財産管理人はその文字の通り「相続財産(遺産)を管理する業務を行う人」のことで、相続財産の管理を代行する法定代理人のひとつです。

相続財産管理人には特別な資格は必要ないようですが、一般的には弁護士や司法書士が選ばれるケースが多いようです。

相続管理人には、相続財産の管理を引き継ぎ、家庭裁判所の許可を得て資産を売却したり、相続財産を管理して、債権者や特別縁故者などを探し、相続財産から必要な支払をして、借金などの精算を行う権限が与えられます(財産が余った場合には国庫に引き継ぎます)

相続放棄をする人や、利害関係者が家庭裁判所に選任の申し立てを行うことにより、家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。選任の申し立てには多くの書類が必要となるため、弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。

また、申し立ての際には「予納金」を求められるのが一般的です。

予納金とは相続財産管理人が職務を行うための経費、費用や報酬のことで、おおよそ30万円〜100万円程度と言われています。

この予納金は相続財産が十分にあれば最終的に変換されますが、そうでないときには、申立人が負担することとなります。

持ち家と賃貸における相続放棄と遺品整理

では、持ち家と賃貸についての相続放棄と遺品整理について見ていきます。

相続放棄をする場合の持ち家の取り扱いについて

相続の対象となる家が持ち家だった場合、相続放棄した後は解体や売却などは出来なくなります(勝手に解体や売却を行うと資産価値のあるものを売却した=相続の単純承認となります)

しかしながら、先述した管理責任は存在し、家を管理する責任は相続人に継承されることになります。

つまり、ゴミを放置したり、家屋が傷んでいる、あるいは猫屋敷になっているなどしてトラブルになった場合には損害賠償を求められるような責任を負うことになります。

迷うことになるかもしれませんが、不動産を相続する場合で他に相続人がいないなどの状況になってしまうケースでは、相続財産管理人の選任を申し立てて、適切に不動産を管理していただけるようにするなどの方法を検討した方が良いかもしれません。

相続放棄をする場合の賃貸物件の取り扱いについて

相続の対象となる物件が賃貸だった場合、相続放棄をしても賃貸借契約は継続します。

借りていた人が亡くなったとしても、すぐには賃貸借契約は解約されません。

もちろん、相続人全員が相続放棄を行なった場合には誰も解約の措置を講じることができなくなりますが、その際には、持ち家と同じように相続財産管理人の選任を受けて対処にあたるのが良さそうです。

賃貸物件の連帯保証人だった場合には注意が必要

本人に準じた責任を負う連帯保証人は、本人に変わって支払う義務を負うケースがあります。

たとえば、賃貸物件の原状回復や修繕費用などです。仮に賃貸物件について相続放棄を行なったとしても、相続人が連帯保証人になっていた場合には、連帯保証の義務がなくなるわけではありません。

相続放棄はあくまでも相続人の義務の放棄であり、連帯保証人の義務とは別のものだからです。

連帯保証人であった場合には、その物件の遺品整理や原状回復の義務を負うことになります。

なお、連帯保証人については相続放棄における借金等についても同様なので、細心の注意が必要です。

相続放棄したときの遺品整理費用は誰が支払うのか

相続放棄をした際の遺品整理費用については、先にご紹介した相続財産管理人選出の際の予納金が充てられると考えて良いでしょう。

ただし、ゴミ屋敷状態になってしまっていたり、想像以上に人手が必要なケースなど、遺品整理費用が想定以上に必要となった場合には、不足分の実費を相続財産管理人から請求される可能性もあることに注意しましょう。

その反対に、価値のある遺産が多く残されていた場合には、差額が戻ってくることもあり得ます。

弁護士や司法書士といった方はこうしたケースに経験が多い方もいらっしゃいますので、まずは相談してみることをオススメいたします。

孤独死などの緊急性を有する特殊なケース

孤独死や近隣に危害を加えるようなゴミ屋敷など特殊なケースでも、相続放棄して相続財産管理人を選任することで管理義務はなくなりますが、選任を申し立てている中でも、緊急性が高い場合には、遺品整理や特殊清掃を行わなくてはならないケースがあることにも注意しておきましょう。

相続放棄しても思い出の品を少しは保存したい場合には

相続放棄を予定していても、家族の写真や手紙などは形見として受け取ることができます。

相続のポイントとなるのは換価性のある高価な遺品であるかどうかです。つまり、経済的に価値のないものであれば、相続放棄の手続き前に遺品整理を行なっても良いという考え方もできます。

しかしながら、高額な価値を有するものを形見として受け取れば、単純承認とみなされ相続放棄はできなくなります。

ただし、手紙や写真以外に「これは価値がないだろう」と勝手に判断して持ち去ったものが実際には価値のあるものだったという例もあります。

モノの価値判断は非常に難しいケースもあるため、こうした形見分けのような場合でも財産価値の判断できる知識を持った専門家に依頼しながら作業を進めることをお勧めします。

まとめ

今回は、相続放棄と遺品整理の関係について、主に相続放棄する場合の手順などについて見てきました。

ポイントは、孤独死など特殊な場合を除いて、相続放棄をお考えの場合には遺品整理作業を行う前に相続放棄手続きに向けて弁護士や司法書士の専門家と相談しながら、手続きを進めていかれた方が良いということです。

孤独死で発見が遅れた場合には、近隣の方にご迷惑をおかけするなどのトラブルが起きることもありますので相続手続き前であっても遺品整理を行なっても問題ない場合もあります。

このように相続放棄をしようとお考えの方でも、ケースによっては、遺品整理や原状回復作業が必要になる場合があります。

相続放棄を前提としていて、価値のある財産の処分などといった判断が難しい場合もあることから私たちにご依頼いただくお客様もいらっしゃいます。

まずは、ご自身の状況をお考えになった上で、3か月以内に相続の方向性を決定し、その後の処置について専門家に相談するのが良いでしょう。

この記事が相続放棄を前提とした遺品整理についての情報をお探しの方にとっての一助となれば幸いです。

最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。

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