遺品整理の現場や、ご依頼主のお客様の元に作業に伺う際「暑いですね」と会話をすることが年を追うごとに増えているように感じます。
ニュースや新聞、ネットメディアでは、連日の暑さで熱中症にて亡くなった方のニュースなどが数多く取り上げられ、心苦しい限りです。自分の大切なひとが・・・と考えるとやりきれません。
こうした毎年のように繰り返される話題の中で、これまた毎年のように聞かれる「昔はこんなことはなかった」「異常気象だ」という声。確かに身体で感じる暑さは、年々厳しさを増しているように感じます。
そこで、今回は孤独死の原因にも直結する「暑さ」について、過去120年の統計をもとに、本当に「年々暑くなっている」のかどうか調べてみました。
横浜市を含む日本全国で気温は確実に上昇している。
いきなり結論ですが、とても暑くなっています。100年前と比べると横浜市の年間平均気温は、約3℃も上昇しているのです。
グラフは、気象庁のホームページ「観測開始からの毎月の値」について、横浜の観測所のデータから8月を抜粋して作成したものです。
8月だけを抜粋しているので、世に発表される論文のように正確な分析はできかねますが、おおよその傾向を把握することはできるはずです。
平均気温が3℃上昇:間違いなく横浜も暑くなっている
前出のグラフで、まず目を引くのは、グラフが右上がりの上昇傾向を表していることです。
さらに、増加傾向(黒のラインで示しています)は最高気温というよりも、最低気温の方が増加しているのです。
最高気温よりも最低気温の方が上がり幅が大きいことがわかります。
しかしながら、過去にも平均最高気温が30.5℃を上回っている日があるということもわかります。
例えば、1922年(大正11年)の平均最高気温が32.2℃。
1922年は、朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」の時代。横浜市の人口は43万9千人(2019年は3,748,473人)ですから、今の8分の1。当時の山手線は4両編成だったようです。世界では、ソ連が成立し、オスマントルコが滅亡。関東大震災の前年です。
平均最高気温が32.2℃ということですと、非常に暑い日が続いていたと考えられます。どうやって涼んでいたのでしょうか。(ちなみに日本のエアコン国産第1号は1935年(昭和10年)に生産開始されています)
しかし、このグラフだけでは、どのように夏の暑さが変化してきたのか、を確実に示したものとは言えません。
以前にも暑い日があったのにも関わらず、なぜ現在の方が暑いと呼ばれ、観測史上初の暑さなどを記録しているか、その理由を明らかにしている情報がありました。
過去140年の平均気温に「暑い」と言われる決定的な裏付けを得た
東洋経済オンラインの「東京の夏が「昔より断然暑い」決定的な裏付け(過去140年の日別平均気温をビジュアル化)」というそのものズバリの記事を発見しました。以下引用をご覧ください。
ヒートマップを見ると、夏の気温は1920年代から徐々に上がり始めたことがわかる。特にその傾向が顕著になったのは1960年代から1970年代にかけての高度成長期だ。90年代に入ってからは、7月の前半から平均気温が30度を超える日も珍しくなくなる。一方で、冷夏として知られる1980年付近や1993年では、帯が入るように前後の年と色が変わって見える。逆に記録的な猛暑で話題となった2010年も同様だ。また、気温の上昇と合わせて、暑さのピーク期間が長くなっていることが読み取れる。特に2000年代後半からは9月に入ってからも平均気温が30度を超える日があり、厳しい残暑になっている。
引用したヒートマップのグラフは東京都のものであり、気象庁が2018年6月に公表した「ヒートアイランド監視報告2017」ヒートアイランド現象などでの分析データを利用しているため、横浜市と単純な比較はできません。
しかし、このヒートマップグラフを見ると、カタカナの「ハ」の字の形になっていることが一目瞭然です。
縦軸が年、横軸は6月〜9月を示しているため、このハの字型は、年々平均気温が高い期間が増えていることを示しているのです。
さらに、色に目を向けると気温の高さを示す赤が下に行くほど増えていることがわかります。
これらのことから、毎年、1日の気温が高くなっていて、また気温が高い日が長く続くようになっていることがわかるのです。
総務省消防庁によれば、日本全国の5月から9月までの熱中症で搬送された人は、2018年に95,137人(そのうち亡くなった方は160人)となりました。さらに2019年の5月下旬は、記録的な暑さを記録し、熱中症で搬送された人が例年になく増加しました。
年々暑さが増す中で、熱中症予防がとても大切であり、さらにそれは、5月から10月上旬まで気をつけなければならないことを、私たちはもっと意識すべきだと感じています。
積極的に冷房を利用するなどして、熱中症にかかることのないように、あなたやあなたのご家族に、もう一度お話をされてみてはいかがでしょうか。