年齢の計算方法は主に「満年齢」と「数え年」であることが一般的です。
公費負担で行うことができる定期予防接種など、法律に基づいた年齢制限が存在する場合には、年齢の算出方法に注意が必要です。
今回は、意外とわからない方の多い(と言うよりも筆者も把握していなかった)年齢の数え方についてお知らせします。
※執筆については、慎重に記載しておりますが、実際の法務や業務に利用する場合には、ご自身でもご確認の上でご利用ください。
満年齢とは
満年齢とは、生まれた年を「0歳」と数え始めて、以後1年が経つごとに+1歳としていく数え方です。
つまり、生まれた時が0歳で、翌年の誕生日に1歳となります。(法律上は異なります。これは後述します)
例えば、1990年11月1日生まれの人は、2020年7月26日時点では満29歳となります。
年齢の記載事項に「満 歳」と書かれていた場合、現在の年齢を記入します。
現在「◯歳」と言うとほぼこの用法を指します。
数え年とは
数え年とは、生まれた歳を「1歳」と数え始めて、次の1月1日を迎えるごと+1歳としていく数え方です。
満年齢に対して、数え年は、生まれた時が1歳で、次の正月に+1歳と加齢していきます。
例えば、1990年11月1日生まれの人は、2020年7月26日時点では、数え年で31歳となります。
この例では満年齢と数え年に2歳の違いが生まれることになります。
つまり、経験した正月の回数が数え年に相当するという考え方です。
日本では古くから数え年が広く普及し使われていました。
七五三や還暦、古希、米寿などのお祝い事は数え年を利用するのが一般的です。
また、喪中ハガキなどに記入する場合の年齢は、満年齢、数え年のいずれでも構わないとするケースが多いようです。
満年齢と数え年の計算方法
満年齢は、現在の年齢をいい、誕生日を迎えるごとに年齢を加えます。
数え年は、その年の誕生日を迎えていない場合には「満年齢+2歳」となり、その年の誕生日をすでに迎えている場合には「満年齢+1歳」となります。
※2020年の数え年を計算するときは、2020年1月1日から誕生日前日の午後12時までは「満年齢+2歳」となり、これ以降は「満年齢+1歳」として計算します。
例えば、1990年11月1日生まれの人の場合、2020年7月26日時点では、2020年の誕生日をまだ迎えていません。このため、満年齢の29歳に+2として、数え年31歳となるのです。
満年齢と数え年の計算比較表
以上をまとめると、以下の表のようになります。
加齢ポイント | 例 | 満年齢 | 数え年 |
---|---|---|---|
生まれた日 | 1990年11月1日 | 0歳 | 1歳 |
1度目の元旦 | 1991年1月1日 | 0歳 | 2歳 |
1度目の誕生日 | 1991年11月1日 | 1歳 | 2歳 |
2度目の元旦 | 1992年1月1日 | 1歳 | 3歳 |
2度目の誕生日 | 1992年11月1日 | 2歳 | 3歳 |
3度目の元旦 | 1993年1月1日 | 2歳 | 4歳 |
3度目の誕生日 | 1993年11月1日 | 3歳 | 4歳 |
法律上の年齢
以上、満年齢と数え年について見てきました。ポイントとなるのは、いずれも「加齢」するポイントでした。
満年齢は誕生日、数え年の場合には経験したお正月の数ということになります。
先にお伝えした通り、日本では古くから数え年が広く普及し使われていました。
しかしながら、1902年(明治35年)12月2日に交付された「年齢計算ニ関スル法律」を受けて満年齢を利用することとなりました。
年齢や月齢は誕生日の前日に加算される
結論として、法律的には年齢(月齢も)は誕生日の前日に加算されるとされています。
以下、解説です。
「年齢計算ニ関スル法律」の条文は、以下のように定めています。
明治三十五年法律第五十号(年齢計算ニ関スル法律)
○1 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
○2 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
○3 明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止ス
「年齢計算ニ関スル法律」では「年齢は出生の日より之を起算す」とされています。
これはつまり、生まれた日を0歳として計算することを示します。
では、+1歳とするタイミングは、どこなのでしょうか。
これは誕生日前日が満了する午後12:00(24時00分00秒)とされています。
これは民法143条2項に定められています。
第143条
- 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
- 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
「その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する」と書かれています。
これこそが、年齢(月齢も)は誕生日の前日に加算される理由であり、4月1日生まれが早生まれになる理由です。
つまり、赤ちゃんが5時に生まれても、17時に生まれても、23時に生まれても、生まれた日を第1日目として年齢を計算し、誕生日の前日の24時に+1歳となるのです。
誕生日の当日の0時と誕生日の前日の24時は同じ時間ですが、法律上は、誕生日当日の0時に歳をとるわけではなく、前日の24時に歳をとる、ということになるのですね。
2月29日生まれの人の考え方
この法律の考え方ですと、2月29日生まれの人も、毎年加齢できます。
2月29日の人が+1歳となるのは、2月28日の24時だからです。
先に紹介した民法143条2項の但し書きに「月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する」と定められているため、閏年の2月29日に生まれた方の場合には、閏年でない平年では、2月28日を満了した時点で1歳を加齢することになるのです。
期間の考え方
ここで、市町村のHPなどを見ていると遭遇する「9歳以上13歳未満」とか「2月から90月に至るまでの間」といった考え方についてみてみましょう。
9歳以上13歳未満とは、9歳を含めて、それ以上から、13歳を含まずに12歳から下のことを言います(一部の制度では、解釈が異なる場合がありますので、確認の上でご利用ください)
また、2月から90月に至るまでの間は、一般的には2ヶ月目から90ヶ月目になる日までという解釈となります(これも制度によっては、解釈が異なる場合がありますので、確認の上でご利用ください)
以上から、例として、平成30年2月5日生まれの方の場合、以下のように法的な月齢と年齢を計算することができるでしょう。
期間経過 | +1歳となる日 |
---|---|
2月後 | 平成30年4月4日 |
6月後 | 平成30年8月4日 |
12月後 | 平成31年2月4日 |
60月後 | 令和5年2月4日 |
90月後 | 令和7年8月4日 |
10歳 | 令和10年2月4日 |
20歳 | 令和20年2月4日 |
まとめ
年齢計算のポイントは、以下の3点となります。
- 満年齢は、現在の年齢をいい、誕生日を迎えるごとに年齢を加えます。
- 数え年は、その年の誕生日を迎えていない場合には「満年齢+2歳」となり、その年の誕生日をすでに迎えている場合には「満年齢+1歳」となります。
- 法律上、年齢(月齢も)は誕生日の前日に加算されます。
今回は、何かと複雑な年齢の計算についてまとめました。
年齢計算についてお悩みの皆さんの一助となれば幸いです。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。